企業様へ様々なプログラムをご提供していて直接のご担当者様は内容をよくご存じでも、当該部署(人事部、人材開発部、経営企画部などどんな部署でも)の方は、「話には聞いているが内容までは詳しく知らない」ということが多くあります。

出来れば部員全員に内容を知っておいてほしいとの部長様のご要望により、ある企業のご担当部署の方達を対象に、その企業様にお届けしているマネージャー向け研修の「ご紹介プログラム」を実施させていただきました。

 

通常は数日間に渡って実施するものを、たった2時間にまとめました。

どうしても説明中心になり、早口にもなりました。また、マネージャー向けの内容ですが、ご参加いただいている多くは一般社員の方。どれくらいご理解いただけたか、不完全燃焼ではなかったかと心配にもなりました。

 

それでもさすが!当該部署の方々です。

当然、「腹落ち感」には至りませんが、「概要」については概ねご理解いただき、また、視野を少し広げて自分なりに色々と置き換えて考えることで、プログラムでお伝えしたいこと、考えていただきたいことなどの「肝」の部分は、何となくでも掴んでいただけたようでした。

 

終了後、参加者のうちの1人の女性Aさんと雑談する時間がありました。

Aさんはプログラム実施中に、こんな発言が多くありました。

「私は行間を読むことができないので」「人よりも理解が遅いので」「消化するのに時間がかかるので」

普段、研修の準備などを手伝っていただくことも多く、以前からよく知っているAさんですが、こんな発言がとても多かったので、ちょっと気になって聞いてみました。

「2時間で超特急だったから、分からなかったことも多かったと思うけど、何か一つでも感じたり、気がついたり、『コレ』というものはあった?」

すると、Aさんは戸惑いながらも言ってくれたのです。

「私は本当に理解が遅くて、特に理論だったりするとパニックになったりするんですけど・・・。部の皆さん、それぞれ言い方とか、説明の仕方とか違うので、まずは一人一人の特徴や違いをしっかりと理解しないと、その人たちの言っている事も分からなくなるんです。だから、まずは、一人一人のことをもっと知らなければいけません。そして、自分が言いたいことを分かりやすく相手に伝えることもすごく苦手なので、それぞれの人たちが、私の言いたいことを理解してもらえるよう、その言い方のスキルを身につけないといけないんです。」

 

ブラボー!!!

私はAさんに喝采を送りたい気持ちでした。

だってそれはまさに、私がマネージャー研修でお伝えしたいメインテーマの一つだからです。

 

「伝わらないのは相手の理解が悪いのではなく、こちらの伝え方の問題。」

「何事もマネージャー視点で考え、自分基準に考えるのではなく、メンバー一人一人の違いを理解して、その一人一人に対して適した応対、育て方、関わり方が必要である。」

「つまり、コミュニケーションはスキルだけではない」

「チームの輪をしっかりと築くためにはお互いの信頼関係をしっかりと構築すること。その大前提となる基礎部分は自己承認にある。メンバーに自分を大きく見せたり偉そうに見せたりということではなく、ありのままの等身大の、完璧な球形をした装った自分ではなく、凸凹して多少カッコ悪いところがあったとしても、まずはその凸凹したそのまんまの自分を自分自身が受け入れ(自己う承認)、その凸凹のまんまの自分をメンバーにさらけ出す事あできる(自己開示)。それがベースとして必要なこと。」

 

特に、多くの部長さんや課長さんが、理屈では分かっていてもなかなか難しい自己承認と自己開示。そして一人一人相手は違うのだから相手に合わせるということを、Aさんはあの2時間の超特急プログラムの中でしっかりと受取り、自分に最も必要なことだと実感したというのです。

 

「それってね、マネージャーにこそ必要な事なんだよ。すごいね!Aさん!!」

それに、実はAさんはとても部のメンバーのことをよく知っているのです。それは履歴書的内容を知っているということだけではなく、「価値観」「個性」「強み」など、本当によく分かっているのです。もしかしたら部内No.1かもしれません。

「Aさんね、自分では気づいていないようだけど、本当にすごいよ。Aさんはチームメンバーの潤滑油やクッション(緩衝材)になれる存在だね。チームだけじゃなくて、会社全体でもイケるかもよ。本当に、それって大変な事なんだよ。もっと自信持っていいんじゃない。」

すると、傍らで話を聞いていた部長さんがポツリとおっしゃいました。

「実はこの前、Aさんと2人で話していた時、『この先、僕はAさんに助けられるような気がする』って、言ったんだよね。」

え??? それって、部長さんも素晴らしいではないですか!

「いえいえ。私なんかまだまだ。」と謙遜するAさん。思わず私は、「謙遜しないの。そういう時は、『ありがとうございます』とにっこり笑って、心の中で『まだまだもっと、頑張らなきゃ。』と思っておけばいいんだから。『ありがとうございます』と言ったほうが、絶対に可愛いよ!」と言いました。

 

Aさんも、上司の部長さんも、本当になんて素敵なんでしょう。

行間が読めないとか、理解が遅いとか、もしかしたらそういうことがあるのかもしれません。

しかし、10人の職場に10人のホームランバッターが必要なわけではありません。全員がホームランバッターでも、数億円プレーヤーでも、勝てないチームは勝てない。ホームランバッターがいたり、送りバントをする人がいたり、走塁に長けた人がいたり。そうして色々な役割りを持った人がそれそれを思いやりながら自分の仕事をしっかりとすることで、初めてチームとして機能するのです。

彼女はベースとしての自己承認と自己開示がしっかりとできており、また他者への愛情に溢れています。

それに決して器用ではないAさんを、時に厳しく、時に父親のように温かく見守り、その成長を支援し続けている部長さん。

本当にお二方とも素晴らしいと心から思います。

 

スゴイね!Aさん。

こんな風にAさんを育てている部長さんもスゴイね!

 

素敵なお二人がいらっしゃる企業様のお手伝いが出来ている事がとても誇らしく、また、こんな会話を聴くことができた事をとても嬉しく思った夜なのでした。

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