営業一課に所属していた時、「隣の二課のM課長はいいな。それに比べてうちのS課長はなんだよ。二課に異動にならないかな。」と思っていたんです。
そうしたら、秋の異動で営業二課へ移れたんです。ところが・・・。
隣の芝生は青く見えただけなのか、M課長はとんでもなく厳しくて。これだったら、S課長の方が全然ましです。

こんなボヤキとも嘆きともつかないような話を聞くことが時々あります。
メンバーから見た時、隣のマネージャーの方がよく見えるというものです。

実際に「よく見えるだけ」なのか、本当に「良い」のかはわかりません。
しかし、メンバーたちのこのコメントに対するかのように、マネージャー達からはこんな話をよく聞きます。

「他部署のメンバーには研修で学んだことや本で読んだことなど、比較的ちゃんとできるんだけど、自分のチームとかプロジェクトのメンバーには、イラッとしたり我慢できなかったりして、ついつい強く当たったり、ダメだと分かっていることをしてしまうんだよな・・・。」

こう呟くマネージャーさんに「ご家庭ではどうですか?奥様には? お子さんには?」と質問すると、多くの方がこう言います。
「直属のメンバーと自分の子供に対してが一番難しい!」

そうでしょうとも。そうですよね。そうなんですよ。

「どうして、ちゃんと対応できる相手とそうでない相手ができてしまうんでしょう・・・」
そう悩むマネージャーさん達に考えてもらい、出てくる結論は毎回同じ。
それは、自分がどれくらい相手をコントロール(自分の思うように)したいとおもっているかどうか、ということなのです。

直属のメンバーの場合、チームの実績はもとより、マネージャー自身の評価にもつながるため、メンバーに「ちゃんと」してほしいと強く思うもの。他部署のメンバーもちゃんと育ってくれるに越したことはないですが、何としてでもどうにかしたいということではないでしょう。
自分の子どもも同じです。
つまり、「自分の思い通りにしたい」「こうなってほしい」という思いが強ければ強いほど、その言動が相手にとっては逆効果となってしまい、悲しいかな煙たい存在、はたまた嫌われてしまう存在となってしまうのです。

そのことに気づいたマネージャーさん達は皆、一応におっしゃいます。
「でも、メンバーや子供の成長を願うのは悪いことではないですよね。自分の思うようにというのは違うにしても。その思いを手放すというのはどうなんでしょうか?」

私も全く同じ悩みを抱えて過ごしていた時期があるので、そう言いたくなるマネージャー達の気持ちも痛いほどよくわかります。
ただ、私はある時、同僚にこんなことを言われたのです。

「メンバーに期待するからいけないのよ。私は期待してないよ。」

え? メンバーに期待しないの? それって、マネージャーとしてどうなの? ひどくない?

「ううん。メンバーの成長は願ってるよ。だから、色々なことを注意したりアドバイスしたりもする。
けどね、私の言ったことに賛同するか、言った通りの行動をするか、そこについては期待していないの。
だって、どうするかを決めるのは彼らじゃない。無理矢理やらせたって、結局は身につかないし、前向き度も低いでしょ。相手を思い通りにしようとするだけ、こっちも疲れるし、あちらも疲れるし。
だから、私が言った通りの事をしてくれるなんて、そこを期待していないという事。その分、その通りにしてくれたら、もう、本当に嬉しいし、ハグしてあげたくなっちゃうよね。」

メンバーの成長は心から願っているが、こちらの思う通りに彼らが行動するかどうかの期待はしていない。

私より何倍も人として大人なんだと痛感した同僚の言葉に衝撃を受けましたが、確かに、そこの部分を手放せば、メンバーに対してイライラしたり怒ったりすることもなくなり、「彼らの結論に委ねる」という思いを持てることで、こちらにもゆとりができたのでした。

他部署のメンバーであろうと自部署のメンバーであろうと、決めるのは彼ら自身。マネージャーが強制できるものではないのです。
素敵なマネージャーだと思っていたのに、そのチームに入ったら幻滅した。とメンバーに思われるという事は、それだけメンバーを思い通りにコントロールしようとする気持ちが表れているのかもしれません。

成長は願うが、(こちらが言った通りの行動をするという)期待はしない。
マネージャーとして、親として、人として、願う気持ちを相手に押し付けすぎることのないよう、くれぐれも心したいものです。

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