自宅すぐ近くにあるシルクラブ中野山田屋で、世界の古裂で着物を作ったという菊地信子コレクションがあったので、ぶらりと普段着で出かけてみました。
期間中、気仙沼にあるたかはしきもの工房の女将 高橋和江さんによる着物のお手入れにまつわる講演もあるということで、週1のペースで着物を着る機会がある私としては、「お得な情報があったらラッキー」という程度の軽い気持ちで、1時間余りのお話を聞くことにしました。

高橋和江さんのお顔はお店のホームページに載っている写真で知っていはいましたが、断然実物の方が素敵!
それは、美人とかスタイルが良いとか着物の着こなしが素敵とか、そういう単純なものではなく、とにかく女将さんの笑顔が飛び切り最上級に素敵なのです。
作り物ではない、はじけるような心からの本物の笑顔。
傍にいる人をほんわか温かく包み込み、たちまち虜にしてしまいそうな、何とも言えない夕陽のような優しくもあり力強くもある笑顔なのです。

あの東日本大震災で気仙沼は重油が流れ出てしまい、たかはしきもの工房さんも全ての商品がダメになったそうです。
それどころか、悉皆(しっかい)という、洋服で言うところのクリーニングのお仕事が専門のたかはしさんのところには、次から次へと泥や重油にまみれた着物をなんとかきれいにしてほしいと多くのお品が持ち込まれたそうです。
どうにもならないだろうことは分かっている。でも、おばあちゃんから受け継いだ大切な着物を重油で汚れたからと捨てられない。
成人式の時に母が仕立ててくれた振袖。何とか着物だけでも蘇ってくれれば。
持ち込まれる着物一枚一枚、その持ち主のお一人お一人に歴史があり、物語があり、お話を聞いて一緒に涙しながらも、その物語を紡いでいく手伝いをさせてもらえている事に、この上もない幸せと誇りを感じ、それは震災があったからこそ体験できたことであり、自分はなんて幸せ者なんだろうと思ったと、はじけんばかりの笑顔で語ってくれました。

この方の笑顔の陰には、たくさんの人たちの涙と想いがあり、それらを引き受けて今の最上級の笑顔があるのだと思いました。

たかはしきもの工房さんの悉皆のお仕事がどれほどの腕前なのかは正直分かりません。
しかし、女将さんのあの笑顔を見ただけで、「この人は信用できる」「この人のお店なら間違いない」「この人の力になりたい」「この人とこのお店を応援したい」と思えたのでした。

心からの素晴らしい笑顔に出会えた素敵な休日でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です