「マネージャーとして、メンバーに自分のファンになってもらうのが良いのは分かったけど、どうやったらええんやろか。えらい難しいことない?」
一人の男性マネージャーが困ったような顔でポソリと呟きました。
(ここまでのお話は、昨日のブログをご覧ください。)

「俺なんか、ファンどころかメンバーみな、俺のこと好かん思うのに、どないしたらええんか、さっぱりやわ。」
同じく関西から参加の別のマネージャーも、半ば自虐的に苦笑いしながら言いました。

そこで、参加者全員で4-5人のグループに分かれて、「メンバーに自分のファンになってもうらには」というテーマでどうしたら良いかを話し合ってもらいました。
皆さん、大真面目に話し合っています。
「敵ばっかりだ~」とこぼしていた人も、「大体、マネージャーのこと煩いと思っても好きになれと言うほうが無理なんじゃないの?」と懐疑的だった人も、「そりゃあ、自分のファンになってくれたらマネジメントしやすいよね」という事で真剣です。
くだんの女性マネージャーも、先ほどまでの涙が嘘のように真顔で話し合いに参加しています。

暫くの後、どんな話が出たかを聞いてみました。
しかし、どのグループも「あのメンバーが自分のファンになるとは思えない」とか、「何考えてるかわからないヤツが多いのに、どうやったらいいか、分かってたらそもそも、今ここで悩んでいない」とか、後ろ向きな話にどうしてもなってしまい、良いアイデアは浮かばなかったようです。

「ギブアップです。教えてください。」
と懇願する声。
そこで私から数人に質問をしました。

「Aさんは、自分に敵意を抱いている人に好意を抱きますか?」
「いいえ。絶対にないと思います。」
「そうですよね。自分の悪口言っている人とか、無理ですよね。」

「Bさんは、好きな女の子に振り向いてほしいと思った時、どんな行動を取りましたか?」
「その子のことを何でも知りたいと思いました。その子が好きなアイドルの事を調べたり、スキーを始めて間もなく凝ってるみたいだと聞いて、自分も必死でスキー上達に励んだりしました。」
「好きな人の事は知りたいですよね。仲良くなれるきっかけ必死で探したり。」

「Cさんは、女の子から好きだと告白されたことはありますか?」
「ないです・・・」
「どなたか、『ある!』と言う人はいますか?」
「はい!」(得意満面のDさん)
「ではDさんは、女の子から好きだと告白された時、どんな気持ちでしたか?」
「何も思ってなかった子なんで・・・。悪い気はしないですけど。」
「それで、その後、その女の子に対して何か言ったりしたりはしましたか?気持ちが変わったとか?」
「いえ別にないですよ。好きになるとか。ただ、『あいつ、俺のこと好きなんだ』と思ったら、何となくカッコつけたり、まあ、これまでよりはその子のことを余計に見たりはしました。」
「そうなんですよね。好きだと言われてこっちも好きになるほど単純ではないけど、ちょっと気にかけたりはしますよね。実は、私もあるんですよ~。私は言われた後、一旦は断ったけど、気になって、結局、好きになっちゃたんですけどね~」

こんなやり取りをしていると、女性マネージャーが「わかった!」と声を上げたのです。
「分かりました。多分、合ってると思うんですけど・・・・。私たちがメンバーを好きになるということでしょうか?」

「え~、あいつは無理」
「それはちょっと、難しいかも・・・」
そんな声が聞こえてくる中、女性マネージャーが続けました。

「だって、自分の事を嫌いな相手を好きになるのは普通は無理じゃない。自分を悪く言っている相手も無理よね。よっぽどマゾなら話は別だけど。やっぱり、自分を良く思ってくれる人とか大切に考えてくれる人に普通、好意を持つよね。だったら、メンバーにファンになってもらいたいんだったら、最初に私たちがメンバーを好きにならないといけないんじゃないかと思うんだけど。」

彼女の言い分に皆、何かしらブツブツと口の中で言いはするものの、うまい反論の言葉は思いつかずに黙りこくってしまいました。

そうなのです。
彼女の言う通り。
答えは至ってシンプル。

メンバーに自分のファンになってほしいのであれば、まずはマネージャーである自分がメンバー一人一人の最大のファンになることです。
自分は相手の事を好ましく思っていないのに、相手には自分の事を好きになれだなんて、そんな都合の良い話はありません。
私の目を覆いたくなるような経験から言っても、こちらが嫌ってる場合は相手もまず、こちらに対して良い感情は抱いていません。
まずは自分がメンバーの一番のファンになるのです。

「え~、無理。ファンになる要素がない」
ぼやくEさんに、私はとびっきり大きな爆弾を落としました。

「『Eさんのファンになる要素、ない~』とメンバーは思っているかもしれませんよ。完璧な人間などいないんです。あばたもえくぼ。長所と短所は裏返し。どんな人にも良いところはある。マネージャーであるEさんがそこを見つけて引き出してあげないで、何がマネージャーですか?優秀な長所だらけのメンバーだったら、別にEさんがマネージャーでなくても、メンバーたちは勝手に仕事をしますから。そうしたらEさんの存在意義はゼロですよ。必ずどんなメンバーも、どんな人もファンになる要素はあるはずです。どうしても見つからないと言うならば、それは見つけられないEさんの目が曇っているだけですよ。大丈夫。必ず見つけられます。Eさんも。皆さんも。」

メンバーにファンになってほしければ自分がまず初めにメンバーのファンになる。
チームで頑張ってほしければ、誰よりも最初に自分がチームで頑張る。
自分が行動しないで相手にばかりそれを求めても、それは無理と言うものです。

メンバーのファンになるには、これまで以上に曇りない目でメンバーの事をまず「知る」必要があります。
どうやったら色眼鏡でなく真っ新な状態で相手を見ることができるのか。
長所と短所の裏返しの考え方は具体的にどんな風なのか。
その辺のコツを習得した後のマネージャーの皆さんの表情は、晴れ晴れとしたものに変わっていました。

自分がメンバーの一番の応援団、一番のファンになるんだ!
そう心に決めたマネージャー達は、既に彼らのメンバー達に対する愛情がその表情から伺い知ることができるほどに優しい雰囲気に変わっていました。

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