いつもの美容院。、担当のスタイリストさんとのお喋りも楽しいし、ヘッドスパの時間は私にとって癒しの時間。元気と癒しと綺麗の3つを同時に手に入れることができる場所です。

ところが今日はいつもと少し違いました。
最初に席まで案内し、シャンプーをしてくれたアシスタントの女の子の様子が「少し変」だったのです。
クロークの札を鏡の前の小箱に入れるその入れ方が少しばかり乱暴で、札が箱の中で暫く音を立てて転がっていて。
座りやすいように椅子の向きを変えてくれる時、椅子のレバーを踏むその足さばきがやっぱり乱暴というか投げやりな感じがして。
カラー前のシャンプーなので軽めにとは言いながらも、軽めを通り過ぎて洗った感がなくて。
シャンプー終って頭を拭いて、コンディショナーを忘れたことに気がついたのか、すぐにコンディショナーを髪につけてすすぎをしたものの、濡れた髪をふいてくれたタオルはさっき使っていたものと同じで既にしっとり濡れていて、あまりよく拭くことができていなくて、鏡の前に戻っても襟足からしずくが垂れてきて、でもそれには気づかないようで。

「今日はとっても暖かくていいお天気ね。」
シャンプー台から鏡の前に戻り、彼女に話しかけみました。
すると笑顔で「そうですね。本当に暖かいですね。」との答え。
きちんと返答をしてくれたものの、やはり少しばかり気になりました。

暫くして担当スタイリストさんがやってきたので、いつものよう軽く世間話の後、アシスタントの女の子について話をしました。

「それでね、コンディショナー忘れたとか、タオルドライがどうのとか、私が言いたいことはそういう事じゃなくて、彼女、心ここにあらずって感じで、何か心配事とか気になることとかあるんじゃないかと思って。余計なお節介だけどね。」

すると、店長でもある彼女が言いました。
「ありがとうございます。あとでやんわり確認しておきますね。」

「やんわりとね。」と私が笑いながら言うと、彼女がその後に続きました。

「お客様には風邪を引いたとか、頭が痛いとか、心配事があるとか、そういうことは全く関係ない。プロなんだから元気を演じろと。だから熱があるから休むとか、ないから来いじゃなくて、元気を演じられないんだったら休んでいい。判断基準はそこだといつも言っているんですよ。」

「そうよね。元気を演じるか。大切よね。でも、まだ若い人たちだと、『お熱あるのに頑張ってるのね』とか『大変な時にもお仕事ちゃんとしてるのね』とか、人からそんな風に言ってもらいたい子たちもいない?」

「いるいる。だから『私たちはプロなんだから!』といつも言っているんですよね。」

「本当にそうよね。私も昔はよく言ってたわ。『プロなんだから』って。でもその『プロ』の中身をなかなか理解してもらえなくて大変だったのよね。私がココに来るのは、もちろん髪を綺麗にすることもあるけど、癒しの時間だったり、エネルギー充填の時間だったり。だからやっぱり、お店の人たちの笑顔や元気、優しさは本当に嬉しいし、彼らの様子がおかしかったら、せっかく素敵な時間を求めてきているのに、ちょっとばかり残念かも。もちろん、長年知っている人たちだから、何かあったら心配もするし相談も乗るし、いつもサイボーグみたいに元気で笑っていてほしいと要求したりはしないけど。でも、ここにきている目的は、単にカットやカラーだけじゃないと分かっていてくれると嬉しいかも。」

「ありがとうございます! それ、頂きます!『プロ』だけでは通じなくて、色々と分かりやすく説明しているつもりだったんだけど難しくって。何を提供している場なのか、空間の価値も考えて、そしたらそれに相応しい行動があるよね、という事ですよね。私たちは技術職だから、ついついそこに意識が行きがちなんですが、サロンのお客様の髪をただカットしたりカラーしたりの技術提供だけの場じゃないということですよね。本当にありがとうございます!」

さすが店長さん。頭キレキレ。いつもお店のことやスタッフさんの事を考えているだけあって、私とのその後の会話もポンポン弾みました。

私たちはどういう価値を提供しているのか。
そこが明確になると、『プロ』という言葉の中身もより明確に分かりやすくなりますよね。
帰り際、来月の予約を取る時に、最初についたアシスタントさんが明るい笑顔でやってきました。
「今日はありがとうございました!来月も又お待ちしています。」

その笑顔はいつもの明るく元気な笑顔でした。
そうそう、その笑顔に私たちは元気をもらってるのよ。頑張って!
そう心の中でエールを送りながら、今月もしっかりとエネルギー充填を終えて、その美容院を後にしたのでした。

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