近所のスーパーでは果物や野菜、魚など、一部の商品でバーコードのついていないものがあります。
例えば果物の場合、リンゴ(ジョナゴールド)1個120円、リンゴ(王林)1個110円のようになりますし、野菜は玉ねぎ1個29円、ニンジン1本39円のようになります。同様にお魚は氷が詰まったスチロールに入ったものがアジ1尾120円、イワシ1尾60円などとなっており、客が自分で青いビニール袋に入れるようになっています。

いつまでたってもネームプレートから「研修中」のシールが取れないレジの女性がいます。
かつてその女性が担当するレジに並んだ時のことです。
「これは青りんごですか?」とシナノゴールドを手に持ち尋ねられました。シナノゴールドの外見は黄色です。
「いいえ?」とだけ答えた私に彼女は「梨ですか?」と聞きました。
「???」びっくりした私は「リンゴです。シナノゴールドです。」と答えましたが、その女性は戸惑ってしまったようでした。
「ええっとぉ。150円でした。」
すると彼女はレジのパネルで150円のリンゴを探し当てたようで、「黄色リンゴですね。」と言って残りの商品のバーコードを通していきました。

別の日、また彼女のレジでした。
青いビニール袋に入ったお魚はたくさん入れると数が分かりづらく、ベテランさんでも「〇〇匹であってる?」と確認されることは度々あります。
彼女は青いビニール袋を買い物かごから取り上げるとまた例の困った顔をしていました。
「5匹です。」と答えた私。
すると彼女は「このお魚は何ですか?」と私に尋ねました。
「え? サンマです・・・」
すると彼女は「サンマ・・・」と呟きながらタッチパネルのサンマを見つけて値段を打ち、また残りの商品のバーコードを通していきました。

青りんごの次はサンマ。サツマイモの時もあったかな。
そっかぁ。そういうことね。
私には確信に近いある仮説が頭に浮かびました。
別の日、再び彼女のレジに並んでいた時、私の前にいた男性が青いビニール袋を指さし、「イワシ3匹」と言ったのです。
え???? 真後ろに並んでいる私から見て、青い袋の中身はどう見ても1尾60円のイワシではなく、1尾150円のアジでした。
しかし彼女は「イワシですね」と言ってタッチパネルのイワシを探していたので思わず私は言ってしまいました。
「おじさん。アジでしょ、それ。私、一番好きなお魚はアジなの。おじさんもアジ好き?塩焼きとか美味しいよね~。」
びっしょり背中にイヤな汗をかきました。私が精算を終えた時、そのおじさんから人目には見えない形で膝蹴りをされました。
イタタ・・・。と足をさすっていた時に、レジの女性と一緒に店長がやってきました。

「いつもありがとうございます。」
彼女と一緒に深々と頭を下げる店長。言いたいことは分かりました。
「いえいえ。いいんですよ。性善説の販売なのに悲しいですよね。けど、彼女が一番悲しい思いをするだろうから、そうならない方法があると良いかもしれないですね。」
私が彼女の「特徴」に気が付いている事を察した店長は、私がどんな仕事をしているかを知っていることもありこう言いました。
「ご相談にのっていただくことは可能でしょうか?」
二つ返事でお引き受けしました。

40歳をとうに過ぎただろうと思われる女性です。
リンゴや魚を手に持ち「これは何ですか?」と客に聞くのは少なからずの勇気が必要なはずです。
そんな彼女をレジ打ちの最前線に起用している店長に私は敬意を表したいと思います。
できることなら彼女がもっと笑顔でイキイキと、なおかつお店に損失がないような仕組みを考え、お客様も気持ちよくお買い物ができれば、ほぼ毎日利用させてもらっている一顧客としてこんなに嬉しいことはありません。
彼女が笑顔で働き続けることができるよう、店長やお店の皆さんと一緒に一生懸命知恵を絞りたいと思っています。

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