我が家のわんこ ゆうたくんは今日で2歳と5カ月になります。
このゆうたくん、我が家にやってきてまだ間もない生後2-3か月の頃、大事件をやらかしてくれました。
ワクチン接種完了前でお散歩デビューがまだだった彼は、走り回りたくてとにかくウズウズしていました。お家の中ではヤンチャし放題。ドタバタ、すってんころりと、本当に大騒ぎの毎日でした。彼のストレスもありましたが、私のストレスも結構なピーク。
そうだ! と思い、ルーフバルコニーに出してあげることにしました。

幸いにも我が家はベランダとは別に6畳ほどのルーフバルコニーがあります。
ここなら外の空気も吸えるし、多少走り回っても階下の人に迷惑をかけることもないと思い、ある晴れた日の朝、ゆうたをバルコニーデビューさせたのです。

今でこそ9キロを超える体重ですが、その頃はまだ片手でヒョイと持ち上げられるほどに小さなゆうた。
彼にとって外の空気に触れられるバルコニーはとても広くて気持ちよく感じたに違いありません。
大喜びでピョンピョンと飛び跳ねています。
本当にピョンピョンと嬉しそう。
と思った次の瞬間!
バルコニーのフェンスを潜り抜け、そのままピョンピョンとジャンプして、私の視界から消えてしまったのです。

一瞬、頭が真っ白になりました。
ゆうたが落ちた。6階から・・・

ところが、ギャーとかキャインとか、そういった悲鳴のようなものは全く聞こえません。
そんな声を出す間もなく小さなゆうたは楽しい気持ちのままに潰れちゃったのかも・・・
私は大急ぎでフェンスを乗り越え、恐る恐るゆうたが消えて行った真下を覗き込みました。
ゆうたらしき影は見えず、どこかの樹にひっかかっている様子もありません。

と次の瞬間、とっても嬉しそうな気配を感じて視線を少し左にずらすと、そこには満面の笑顔でこちらを見上げ、ちぎれんばかりに尻尾を振っているゆうたがいたのです。
なんと奇跡的にもゆうたはほんの半畳ほどの5階の踊り場に着地したのでした。

安心とともにまたまた恐怖が私を襲ってきました。
ぼやぼやしていると、ゆうたが動き出して今度こそ本当に地面へ叩きつけられてしまうかもしれません。
「ゆうた、待て!待ってよ!」
まだしつけも十分じゃないゆうたに「待て!」を連呼して、私は階下の管理人室に飛び込み、5階の非常フェンスのカギを借りてドアを開けました。
ドアは腰高になっており、ゆうたのいる踊り場へは私が1メートルほどジャンプして小さな半畳ほどのスペースへ飛び降りなければいけません。
怖い・・・。
迷っているとゆうたはこちらへやってきて、小さな体で私の方へ身体を伸ばしてきました。相変わらずの満面の笑顔で。
この非常事態を全く理解していないゆうたくん。
こちらは涙と汗と頭の混乱でくしゃくしゃになっているというのに。

私が非常ドアに身体を半分乗り出して手を差し出すと、なんとかゆうたの前足を掴むことができました。
えいっと持ち上げると、私の腕にしっかりとしがみついてくれたおかげで彼を救い出すことができました。
いえ、「救った」というのは人間側の理解で、ゆうたにしてみれば「楽しい時間が終った」くらいにしか思っていなかったのかもしれません。

あれから2年あまり。
以来、1歩も彼をバルコニーには出していません。少しでも顔を外に出そうものなら、「No!」と私の物凄くドスの効いた声が響くため、ゆうたも自ら出ようとはせず、それどころか、私がバルコニー側の窓を開けると彼は怖いものを避けるかのように奥へ引っ込んでしまうようになりました。

しかし、ある時、考えたのです。
せっかく楽しい空間が彼の目の前にあるのに、仔犬の頃の失敗(彼にとってはあくまでも失敗ではなかったと思います)を理由に、その楽しみを奪ってしまうというのはどうなのだろう。
チャレンジさせてあげることさえしないのは、私が自分の安心を担保するためのエゴではないかと。大人になったゆうたがバルコニーで遊べるようにしつけてあげるのが私にできることで、それは私側に必要な努力なのではないかと。

たかがワンコ1匹のことで、そんなに深く考えなくてもいいんじゃないの?
と友人には笑われてしまいました。
しかし!しかしですよ。ゆうたもしかり。ビジネスでもしかり。だと思うのです。そしてもちろん子育ても。

メンバーが若い頃の失敗の尻拭いにマネージャーは痛い思いをした。以来、メンバーに自由にチャレンジすることを抑制していまい、結果、メンバーはチャレンジすることを怖れるようになり、マネージャーは安心を担保している。
もしかしたらまた失敗してしまうかもしれない。それでも致命的にさえならなければ多少の失敗は大目に見るくらいの勇気をこちらが持ち、メンバーに自由に任せるという事は必要だと思います。
何より、小さな決められた枠の中でだけしか仕事ができないよりも、ある程度の裁量で自由にのびのびと自分なりにできたほうが、メンバーだって楽しいに決まっています。

私はゆうたをバルコニーに出すことにしました。
もちろん、いきなり野放しにするのではなく、フェンスから外に出ないようしっかりとトレーニングをし、少しずつその自由範囲を広げていくというやり方でです。
いつの間にかバルコニーは恐ろしいところと思ってしまったゆうたは、最初、なかなか外へ出ようとはしませんでしたが、今ではリード付きなら一緒に出られるようになりました。

メンバーのチャレンジを心配し恐れるあまりに閉じ込めてしまうのはナンセンス極まりありません。
失敗の原因が、もしかしたら私がゆうたにしたように「いきなりの野放し状態」であったならなおさらです。

必要最低限のトレーニングをちゃんと行い、その後で少しずつ本人に任せていく。
まさに、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて」の世界です。
メンバーがチャレンジできるようになるには、こちら側の勇気が何より必要です。
それはまさにマネージャーの度量が試されているのだと思います。

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