ワンママ・ワンパパ達が集まるドッグランは、年齢、性別、国籍、価値観など、実にいろいろな人がやってきて、さながらダイバーシティの宝庫です。
「人」「チーム」「組織」そして「ポジションによらないリーダーシップ」という観点で考えた時、私にとってドッグランは実に学びが多い場なのです。

最近やってくるワンママさんで、どうにもこうにも私がイラっとしてたまらないFママがいます
おしゃべりに夢中になっていて自分のワンコが暴走しても気がつかない、ウ〇チやオ〇ッコの後始末が中途半端という、なんとも自由なママなのですが、他の私と仲良しのワンママ達が感じている以上に、私はFママにイラっとしてしまう自分を感じていました。

ある日、自宅マンションの前でFママに会いました。
「私の家、あそこなの。」
Fママはそう言って、家から数件先の古いマンションを指さしました。
そのマンションはいったい築何十年経っているのだろうかと思うほどに外観はやつれ汚れており、ベランダに干されている洗濯物や布団はどの家のものもどちらかというと粗末なものが多く、誤解を恐れずに言うならば、裕福な人が住んでいるとは言い難いマンションです。

Fママが堂々とそのマンションを指さした事に私は心の底から驚きました。私なら恥ずかしくて言えない・・・。
さらに不思議な事に、私は自分の家はココだと言うことができず、逃げるようにわざわざ遠回りをして元居た自分の家に帰りました。

家に戻ってから、私はずっと考えていました。
なぜ、私は自分の家はココだと言えなかったのか。
なぜ、逃げるような行動を取ったのか。
私はFママの住まいがあのマンションだと以前から知っていたのだから、「知ってるよ」と言っても良かったのに、なぜ、あの時、無言だったのか。
そもそも、なぜ、Fママにはイラっとしてしまうのか。彼女が私に対して何かをしたわけではないのに・・・・

考えて考えて、そして、分かったのです。
「私の家、あそこなの。」
いつ壊されてもおかしくないほどの古いマンションを全く臆することなく堂々と指さしたFママ。
その潔さ、素直さ、純粋さに私は圧倒されたのだと思います。
そして・・・

職業や所得、住まいや乗っている車や身につけているもの。
そんなもので人の優劣が決まるわけではない。

当たり前のように口ではそう言いながら、本当は潜在意識の奥深くで人の優劣をそういうモノで判断してしまっている自分がいることに気がついたのです。
だから彼女の堂々とした口ぶりに心底驚き、私は自分の家はココだということに罪の意識さえ感じたのだと思います。
Fママはそんなこと、全く気にしないだろうに・・・。

人として大切なもので実は私にはまだ足りないものを、Fママは持っている。実に純粋で潔く堂々と生きている。
潜在意識下では本当は私が欲しくてたまらないものをFママが持っていることにヤキモチを焼いて、それがイラっとする感情になって表面化しているのだということに私は気がつきました。

あぁ。彼女は私にそれを気づかせてくれる大切な存在だったんだ。
口ではきれいごとを言ってても、私はまだまだ人を計れるもので判断しているところがあるんだ・・・
そう思うと、これまでのイラっとした気持ちが途端に影を潜め、気づきのきっかけを与えてくれた彼女に感謝の気持ちが溢れてきました。
さらに、過去において、私にとっては不思議とイラっとしてしまう存在だった人達を思い出してみると、その原因はFママと同様、全ては本当は私は持っていなくて、でも心の奥底ではほしいと願っているモノを彼・彼女達は持っていたのだということに気がつきました。

「あの人の〇〇なところ素敵だな~」と思うのは、〇〇な部分に自分が意識を向けているから。
他人が「あの人は△△が素敵だ、素晴らしい」とどんなに言っても、自分が△△に関心がなければ「ふ~ん・・・」で終わってしまいます。
意識が向いているからこそ「いいな~。素敵だな~」と思うのです。

「イラッ」も同じ。
「なんかムシが好かない」とか「イラつくんだよね」で終わらせてしまうのではなく、よくよく考えてみると、イラっとする人は自分は本当は欲しいのにないモノを持ち合わせているもので、そこに気がつかせてくれる大切な人なのかもしれません。
実はソコに意識が向いているから「イラッ」と反応しているのです。
そう考えると、イラっとさせてくれる相手はなんと愛おしい存在なのかと思えてくるのですから不思議なものです。

その後、私は自ら進んでFママとコミュニケーションを取るようになり、距離がうんと縮まり、彼女に対してイラッとすることは全くなくなりました。
もちろん、「おしゃべりしながらワンコを見てるんじゃなくて、ワンコを見ながらおしゃべりしようね」と言いたいこともちゃんと言えるようになりましたとさ♪

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