「後輩には良い事でも自分にはメリットと思えなくて、前向きに取り組むことがイマイチできませんでした・・・・」
集合研修宿題の振り返りでこんなお声を頂きました。
実に正直!素直!な感想です。

こんな風に思い悩むのは、「相手の役に立ちたい」「後輩のことを思っているのに申し訳ない」という気持ちがベースにあるからでしょう。それだけで、あなたはもう、立派なリーダーの資質を身につけています。自分のメリットとは一致しないからNO!と最初から撥ね付けている人の何倍も、何十倍もリーダーらしいと言えるでしょう。
 
他人のメリットを自分のメリットと考える。
これは無理です。と言うか、実に難しいです。よほど全てが一致していれば話は別ですが、多くの場合、イコールと捉える事には無理があります。
しかし一方で、後輩のために、上司のために、他部署のメンバーのために、実に一生懸命自分の時間を割いている人を見かけたりもします。その人は聖人君子のように立派な人で、難しいと悩むあなたがダメな人なのでしょうか?
答えは否! そんなことは全くありません。
そういう人は、おそらく「モノの見方・捉え方」が上手なのだと思います。

私が社会人5年目の夏、仕事も順調で忙しさもマックスの頃、新入社員K君の指導社員の役割を言いつかりました。K君は大学の後輩ということもあり喜んで引き受けはしたのですが、とにかく忙しくて時間が1分1秒でも惜しい頃。正直言って、K君に対して「丁寧に」「親切に」というのはとても負担でした。

K君がようやく一人で営業に出られるようになった頃、先輩社員から指摘を受けました。

「Kを一人でほったらかしにしないで、同行して手本を見せてやるなり、フィードバックするなり、ちゃんと見ててやらないとダメだぞ。」

ようやく日常のK君のなんやかんやから解放されて自分の仕事に集中できると思っていた私は、口をとがらせて先輩に文句を言いました。

「私だって自分の予算あるんです。K君と一緒に行って彼が受注できても、私の数字に反映されるわけではないですよね。だからと言って、私がK君に費やした時間分、目標予算が減らされるわけでもない。なんか、スゴイ不公平というか、やってられないんですけど。」
どれだけ自分勝手な人間だったのかと今となっては思うのですが、当時の私は、至極まともな意見だと言わんばかりに先輩に大声で主張しました。
 
「おまえさぁ、もうちょっと違ったモノの見方してみろ。K君との同行、お前には損なことばっかりで、本当にメリットなしか?K君のお客様だからお前の実績にはならないよな。けど、Kに良い事やイマイチなところをフィードバックするのはお前自身の一番の勉強になるんじゃないか。ちゃんと見ててやらないとフィードバックできないよな。どうやって伝えたらKに伝わるか、彼のやる気を損なわずに尻を叩けるか。お前が一番苦手なところだだろう。その学習チャンスをKが買って出てくれてると思ったら、すっごくありがたくないか。『教える人が一番学ぶ!』と言うじゃないか。
それに、K君のお客様との話から得たいろいろな情報やヒントを、お前の仕事に全く活かせないかと言ったら、そんなことはないだろう。そこからお前自身の新規営業のヒントを掴んだり、お前自身が成長するためのきっかけを得られることもあるんじゃないか?
いつも同じ方向からだけ物事を見るんじゃなくて、いろんな方向から見てみろ。意味づけるんだよ。『このことは、自分にとってどんな役に立つかな?』って。今じゃなくても、将来でもいいんだ。意味づけができる人間は、どんなことも自分にとっての『成長の種』と捉えることができるから、結果的に、他人より何倍も成長する。お前も文句ばっかり言ってると、せっかくの成長の種を無駄に落としてばかりになってしまうぞ。『今、目の前で起きていることを意味づける』んだ。それが自然にできるようになったら、お前も一人前だな。」
 
先輩から教えられた『意味づける』ということ。
以来、私は多少の事では動じなくなりました。
後輩が大失敗をしてお客様からひどいお叱りを受け、出入り禁止になってしまうような事態の収拾を上司から任された時も、これをクリアできたら大抵の事には動じない度胸と経験ができると思い、また、乗越えた時のドヤ顔の自分を想像して前向きに取り組めたり。
上司のミスを押し付けられ、チームが大きな損失を抱えたその敗戦処理をしなければならなくなった時も、経理・法務の知識をここで得ておけばいつかまたきっと役に立つだろうし、こんな事態になってしまった原因を客観的に分析することで、チームの改善計画に大きく意見することができ、今よりもっと良いチーム作りができるだろうと考えることができたり。
 
実に、『意味づけ』の力は偉大なのです。
相手のメリットを自分のメリットとイコールにする必要はありません。
大切なことは自分にとっての意味づけです。
ちょっと練習すれば、誰でも意味づけ思考に簡単になれます。
そのポイントは「学習者」になること。
「うっ・・・」と思うことがあったら一呼吸置き、「ラッキー!」と呟いてから自分にとっての意味づけを考えてみませんか。
意味づけ上手こそが成長へのカギ。そしてそれは、良きリーダーへの一歩でもあるのです。

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