「そこまでやらなきゃいけないんですか?! やってられないんですけど!!!」

完全デジタル世代のメンバーS君が引き起こすお客様とのトラブル。そのS君への対応を相談してくれたマネージャーのMさんですが、私の提案にプッツンしてしまったようでした。

「そんな、いちいちそこまで面倒見てられないですよ!忙しいんですよ、僕だって!」

怒りが収まらないMさんの言い分をひとしきり聞き切り、少し落ち着いただろうと思われる頃に、私は言葉を発しました。

「そうですよね。忙しくて大変ですよね。ただでさえ忙しいのに、S君がしょっちゅうお客様と揉めてしまう。すると益々忙しくなる。それを何とかしたくてのご相談でしたね。」

「そうですよ!忙しいのを何とかしてほしいんです!!」

「そうですか。では、マネージャーを降りられたらいかがですか?Sさん対応がなくなり時間ができますよ。」

「そういうこと言っているんじゃないです。Sを何とかしたいんだけど、どうしたら良いかと聞いているんです!」

「私の提案は、さっきと同じです。デジタル世代のS君は、言いづらい事、面倒な事、こちらにとって不都合な事ほどFace to Faceのコミュニケーションを避けて、電話はおろか、メールで済ませてしまう癖がついてしまっている。友人たちとはそれで成り立っているんでしょう。ビジネスはそうではないとこれまで何度もMさんが説いて聞かせてもなかなかその通りに行動してくれない。
恐らく、Sさんは頭で理屈は分かっていても、怖れからなのか、面倒くさいと思っているのか、他の理由なのか、わかりませんが行動変化に至っていない。
だとしたら、最初は面倒で手間がかかるかもしれませんが、Sさんのお客様や関係先とのコミュニケーションを一つ一つ確認する。Mさんが行っているお客様や関係先へのちょっと面倒な言いづらいことを言わなければいけないその現場を直接Sさんに見せてあげるなど、丁寧に教えてあげるしかないですよね。
今のままでは悪化することはあっても良くなる兆しは一向にないのですよね。つまり、Mさんの忙しさが軽減されることはない。
『急がば回れ』Sさんが面倒なことをお客様に直接言えるようになるよう、まずは阻害要因をしっかりと確認して、それを取り除言え上げて、あとはやり方を手本を示してあげる。それが、結果的にはMさんのクレーム対応の時間を減らすことができる唯一確実な方法だと私は思います。」

「それは正論ですけどね。だったら、それ、Sに、尾藤さんがやってくださいよ。そうするとスゴイ助かるんですけど・・・・・」

「それはマネージャーの仕事ですよ。マネージャーがやらないなんて、子育てを放棄した親と同じだと私は思います。
手間がかからない優秀なメンバーばっかりだったらマネージャーはいらないんですよ。つまり、Mさんは不要なんです。
Sさんの成長・変化を楽しんではどうでしょうか?お客様を大切に育てていくように、メンバーを育て、変化を楽しむ。マネージャーでなければ味わうことのできない醍醐味だと思いますよ。」

「そうですけど・・・・。でも忙しいんですよ。」

「そう言っていて、忙しさがなくなるなら、そう言っていればいいと思います。他に魔法のような手段を知っている人がもしいるなら、その方法も良いのかもしれません。けれども、万が一、そんな方法があったとしても、それはMさんの成長にはなんの役にも立たないですよね。
Sさんのことが上手く対応できた時、Mさん自身もものすごくステップアップしていると思うんです。
子育てで悩みながら親も一緒に成長していくように、メンバーとマネージャーの関係もそれに近いのかもしれません。
メンバー育成に奮闘しているマネージャーは素敵だし、カッコいいと私は思います。」

「ホント、デジタル世代には困ったもんですよ。」

「私は今、かなり面と向かっては言いづらいキツイ事をMさんに言ったと思うんです。
私だってできれば避けたい。誰だって、言い辛いこと、面倒なことは避けたいものです。
ただ、育った環境から逃げてはいけないと自然に教えられてきましたが、デジタル世代の彼らは私たち世代とは異なるコミュニケーションのやり方で育ってきた。
それを改めてほしいのなら、丁寧に、丁寧に。それが結果的に一番早いんだと思いますよ。
デジタル世代の彼らが悪いのではなく、そういう時代だという、それだけですから。
だって、Sさん、とってもいい子じゃないですか。愛すべきメンバーですよね。」

ここまでくると、Mさんの怒りのボルテージもすっかり下がり、どうやってSさんを成長させていくかということに彼の関心は向いていました。

コミュニケーションのやり方は一つではありません。
ただ、言い辛い事、面倒な事、厄介な事など、相手にとってネガティブな事柄を伝えなければいけないときは、やはりメールやSNSではない方が良いでしょう。
悲しいかな、デジタル世代のメンバー君たちはこれらが苦手なようです。
(もちろん、大人世代でも苦手な人はたくさんいらっしゃいます。)
デジタル世代と一括りにして「ダメだ!」としてしまうのではなく、面倒でも厄介でも、最初は丁寧にコミュニケーションの訓練をしてあげる、手本を見せてあげる。
それこそが、デキるマネージャーの成せる技なのだと思います。

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