社内の人事異動により、後輩のNさんが担当していたお客様を引き継いだプレイングマネージャーのKさん。
ところが引継ぎ早々、お客様から数度のお叱りを頂き、ついには「担当を変えろ!」とKさんはお客様から言われてしまいました。

後輩からの引き継ぎでマネージャーの自分がダメ出しされたことにショックを受けたKさん。
支店長に報告はおろか、相談することもできず、私にSOSがありました。

Kさんに詳しく話を聴いたところ、
「あのお客様は細かくて、自分都合なんですよ。」
とのこと。
それはKさんがお客様に対して抱いている言い分です。
私はKさんが吐き出したい気持ち・感情を一通り聞き切った上で、お客様はなんとおっしゃったのか、できるだけ詳しく順序立てて話してもらいました。

すると・・・

「あなたは言われたことしかやらない!
しかも、必ず言われた後に、一言二言何かがある。
Nさんはこちらが言う前にやることはちゃんとやってくれた。
何より、中間報告も、途中経過の連絡も欠かさず入れてくれてきめ細かく対応してくれた。
ところがあなたときたら、報告も連絡も、こちらが聞かないとないばかりか、いい加減な答えをしたり、安心して頼みごとができない。」

こんな風にお客様はおっしゃったのだそうです。

これらのことについて、Kさんはどう感じているのかを聞いてみました。
すると、確かにNさんは仕事全般に対してとてもきめ細かく丁寧に進めていくタイプで、Kさんは結果オーライのタイプだと自らも認めているのですが、最終的にうまく言っているのだから途中にいちいち連絡・報告する必要性を感じないと言うのです。
更に、Kさんの部署は、カスタマーサポート部門であり、既にお客様になっていただいている方々が対象で、ビジネスの特性上、一度契約いただくと、そう簡単には契約解除になることはなく、それよりも量をこなすことが大切だと考えていることが分かりました。
Nさんのやり方だと今の自分の仕事量をこなしていくことは不可能で、いちいち頼まれもしないことをこちらからやる気にならず、Nさんのお客様を引き継いだことが間違いだったとも思っているというのです。

もし本気でそう思っているなら、なぜそう支店長に言わないのか、その理由を尋ねました。
するとKさん曰く
「何が正しいかではなく、メンバーのお客様を引き継いだ自分がクレームを受け、メンバーの方がお客様から評価を得ていることを支店長に言うことなど、自ら自分の評価を下げるようで、そんなことは絶対にできない」
とのことでした。

Kさんはお客様に対して二つの不満を抱いており、それが「あのお客様は細かい!」と言う表現になっていたのでした。
一つは、お客様から自分のやり方を否定された不満。そしてもう一つは、自分の面子が潰れてしまった不満です。

一通りKさんの言い分を聞いた後、本当にお客様は細かいのか、お客様に問題があるのかを尋ねました。
するとKさんは最初はNさんを批判したりお客様に対してぶつぶつ言っていましたが、「本当の問題」は「自身の仕事量が多すぎて余裕がない」ことだという結論に至りました。

あれやこれや表面的にいろいろな言動があり、小さな問題、大きな問題が見え隠れしていますが、その根本は「仕事量が多すぎて余裕がない」と言うのです。
そのことについて支店長に相談はできないのかを促したところ、そこは支店長も常々気遣ってくれており、パンクする前に何とかしなければと言ってくれているというのです。
そこでもう一度、私からKさんに聞いてみました。

「今回のお客様からお叱りを頂いたこと。正直に支店長に報告したうえで、現状を伝え、仕事量の調整などの相談をしてみたらどうでしょう?
私自身の考え方だけど、仕事は『こなす』ものではないと思うのよね。
『こなす』のはただの作業。
仕事は心を込めて行うことだと思うのだけど。」

するとKさんはしんみりと言いました。
「Nくんが羨ましいです。彼は仕事が楽しそうですから。僕は本当に、いつの間にか作業になってしまっていて、心を込めるどころか、数を裁く事しか考えていなかったと思います。お客様が怒るのももっともですね。」

その後のKさんはお客様に心からのお詫びをお伝えし、自ら再度担当させていただけるようお願いし、Nさんに勝るとも劣らない丁寧な対応をしており、今ではお客様とすっかり仲良くなっているとのことです。

「あのお客様は面倒だ」と最初は言っていたKさん。
でも問題はお客様ではなく、自らの仕事量でした。
もちろん、そこに目を背けず、問題に対応してくださった支店長がいてこその問題解決です。
しかし大切なことは、対処療法ではなく、根本的要因をしっかりと見極めて、そこに向き合い、手を打ったことです。

良かったですね、Kさん。
支店のカスタマーサポート部門の評判は上がり、そこからの口コミで新規のお客様が増えるなど、支店全体に良い影響が表れているようです。

2018年12月22日

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