絶対に必要な役割にもかかわらず、皆が敬遠して逃げていた、グループ親会社への要望書作成を、Yさんは自ら引き受けることになりました。
誰かがやらなくてはなりませんし、誰もやらないなら自分がやって、少しでもチームの役に立ちたい、親会社との関係性をもっと良好なものにしたいとの純粋な思いからでした。
Yさんが引き受けてくれたことにチームメンバーは皆一安心。
様々なリクエスト(要望)をYさんに伝えました。

奇しくも、一番多忙な時期に要望書を提出しなければいけなかったYさん。
仲間からのリクエストがなかなか出揃わない中、本当に一生懸命&丁寧&真剣に要望書を作成しました。
一方的リクエストにならないよう、表現には十分に配慮し、目的や理由などもこちらの意図を崩さない形でかつ親会社も受け入れやすい言葉に置き換えたりもしました。

やっとの思いで完成した要望書。
提出前にメンバー全員に確認してもらおうと、A4 5枚にもわたる力作の資料をみんなにメール添付で送りました。

「ありがとう!こんなに詳しく、大変だったでしょう!」
「こんな視点で書いてくれたんだ。そうだよね。一方的に〇〇して!よりも、こっちの方が受け止めやすいもんね。」
「すごーい!これ、時間かかったでしょう。あのね、ココのところ、△△って意味合いで加筆してもらってもいい?」

こんな言葉が飛び交う中、Mさんだけは違いました。
「△△の件、私は嫌なんだけど、こういう言い回し、どうかと思う。ほかにもイヤな人いると思うよ。私たちの負担が増えるようなこと、書かないでよね。」

Mさんのいきなりのパンチに最初は落ち込んだYさんでしたが、すぐに気を取り直してこう考えました。
「捉え方は人それぞれだから、全員が納得、満足はなかなか難しいよね。」
そして、こうも考えました。
「善意と好意は与えっぱなし。『ありがとう』を期待しちゃいけないんだよね。」

Yさんの考え方と態度に、チームリーダーのTさんは自らの不甲斐なさをYさんに詫びました。
「ごめんね、Yさん。私も今まではMさんとおんなじだったかも。」

「一生懸命努力してくれた人、皆のために頑張ってくれた人に対して、何があろうとも一番最初は『ありがとう』や『ご苦労様』のねぎらいや感謝の言葉だよね。けど、私も今まではMさんと同じ、自分が思ったり感じたことを一方的に言うだけで、そういうの、なかったように思う。Mさんを見て、『え???』って思ったけど、私自身がそうだった。あれじゃぁダメだよね。それに文句言うこともなく、ただ、黙々とみんなのために頑張ってくれているYさんには本当に感謝しかないよ。ありがとうね。」

TさんはMさんの態度から自らを振り返ることができたようでした。
人はどうしても自分を中心に物事を考えるため、心に感じたことをすぐに口に出してしまうことがあるかもしれません。
しかしそれではあまりにも幼稚としか言いようがありません。
自分たちのためにわざわざ負荷を買って出てくれた人に対して、その結果を評価するよりもまずは感謝だし、評価ではなく感想や感じたことを述べるのが礼儀というものです。

「自分で手を上げてやってることですから、全然平気です。」
そう笑顔で答えるYさんに、リーダーのTさんは、Yさんの人としての器の大きさを感じたのでした。

2019年05月22日

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