父の手術も無事終わり、晴れて退院の朝を迎えました。
病院もまた組織であり、それが大病院ともなると新人さんの数もそれ相応にいるようで、胸のネームプレートの横に若葉マークをつけた看護師さんを多く見かけました。
入院手続きの時もそうでしたが、退院手続きもまた若葉マークの看護師さんでした。
説明がたどたどしく、???な話もあったりして、午後の予定が詰まっていた私は少しでも早く病院を後にしたいのに、それがままならず、ほんの少しイラっとしてしまいました。

そんなことには全くお構いなしに、家へ帰れるとご機嫌な父は、その看護師さんに向かって明るい声で言いました。
「あなたもいろいろと大変だねぇ。ご苦労さん。頑張ってね。」

父のその言葉を聞いて、私のピリッとオーラーが一気に影を潜めました。
うわぁ。危うくイヤな人になるところだった・・・。
そんな風に心で呟いたその矢先に、まるで父は私の心の中を見透かしたように言いました。
「みんな最初は新人じゃけんねぇ。誰かが新人の相手してあげないかんねぇ。」

応対者が新人でアンラッキーと思うのか、新人が相手でも普通に対応するか、それはこちら側の心構え次第です。
もちろん急いでいたり難しい問題の応対に、それらに上手く対応できない新人さんが相手では不愉快に感じる人が多いことも事実です。
しかし見方を変えた場合、こちら側(我社)にも新人はおり、こちら側の新人の対応を受けてくれる人もまたいるわけです。
そう考えたなら、ある意味お互い様。
お互いに育て合う心の広さ、余裕を持ちたいと思ったりもします。

そんな聖人君子みたいなこと、私、言ってられないわ!
そんなお声をまたまた頂きそうですが、最初は誰もが初めてで、その初めての相手を誰かがしてくれているわけで、あなた自身の初めての時にもその相手になってくれた方がいたから今のあなたがいるわけです。
そう考えたなら、「うげっ!新人・・・」と思うのではなく、恩送りのつもりで「私を相手に選んでくれてありがとう」と思うくらいのゆとりを持ちたいものです。

新人看護師さんはエレベーターの乗り場までわざわざ送ってくれて、深々と頭を下げて「お大事に」と父に挨拶をしてくれました。
「あなたも頑張りなさいよ。」と少しばかり上から目線で声をかけた父ですが、彼女は満面の笑顔で父に手を振り見送ってくれました。

結局のところ、新人さんであっても相手に心の余裕を持たせてあげて、まだまだできることが数少ない中で精一杯の力を発揮させてあげられるかどうかは、こちら側にも大きな要因があるということです。
「客なのになんでそんなことまで気を遣わなきゃいけないの!」なんて言わないでください。
人間、どこで誰にお世話になっているかはわかりません。相見互いなのですから。

またまた父に教えられた私です。
認知症が進み、できないことや分からないことが日増しに多くなっている父ですが、私はまだまだ父から学ぶことがたくさんあるのでした。

2019年05月26日

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