ある電話がかかってきました。こちらの依頼内容に対して「ご希望に沿うことができません」という、いわゆる「お断り」の電話でした。

とても残念だったのですができないコトは仕方ありません。しかし、それ以上に悲しかったのは、電話の声の主があまりにも「無表情」だったことです。右脳的に言うと、その声は終始一貫して「灰色」でした。わざと感情を押し殺してお話なさったのかもしれません。しかしその灰色の声は、発せられている言葉そのものを、より一層暗く嫌な気持ちにしてしまう灰色でした。丁寧な言い回しが灰色のせいでトゲに変わったような気がしました。

 

また、こんなことがありました。

 

毎朝6時前に配達される朝刊。「なんかいつもと違うな」と開いてみると、それは私が頼んでいるのとは違う新聞でした。以前も誤配がありました。配達員さんが変わったのかしら?そう思いながらも明日も間違えていると困るので、専売所へ電話をしました。

電話に出た人は留守番の方だったのでしょうか。とても事務的な感じで、正直、あまり良い印象を抱きませんでした。

ところが、電話を切って10分経つか経たないかのうちにインターホンが鳴ったのです。モニター越しに見てみると、明らかに髪を乱し息を切らして走ってきたと思われる男性が新聞を片手に持っています。

「大変申し訳ございません。正しいものをお持ち致しました。」

ハアハア言いながら短い言葉を言っただけでしたが、その男性が心から謝っているのが態度だけでなく、声からも十二分に伝わってきました。その声は「気持ちの良い適温のお風呂からほんわか湯気が出ている感じ」です。

「こんなに早く、かえってすみません。ありがとうございます。」

私がそう言うと、男性は何度も頭を下げながら帰っていきました。

 

「声は心に連動する」

これは、私のパーソナルコーチがいつも言う言葉です。

言葉ではいくらでも嘘をつけるが声は嘘はつけない。心のあり方がそのまま表れるのだと。

 

面と向かって相手の顔を見ながら話ができるときは、表情や身振り手振りから相手の気持ちを読み取ることができます。しかし、電話などの顔が見えないコミュニケーションの場合、声が伝えることは言葉の内容以上に色々なことを相手に伝えるのです。そして、それは声を発している人の心に連動している。

かつてお手伝いをさせていただいた企業様の管理職研修でマネージャーさんが言っていたことを思い出しました。

「A役員の声はどんなときにも無感情なんだよな・・・」

自分で思っている以上に周囲は、特にメンバーはよく見ている、よく聞いているのですね。

 

声は心に連動する。

そんな風に思うと、常々、自分の心のあり方を整えなければと思うのです。どんなにきれいな言葉を発しても、声は嘘をつけないのですから。中身のないスッカスカの言葉に終わってしまわないよう、心磨きを怠らないようにしたいと思うのです。

 

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