何かにつけて攻撃的な返事をする年上のメンバーSさんに手を焼いている女性マネージャーのTさん。
Sさんは年下メンバーからの信望も厚く慕われていますが、もともと気に入らないことがあったり、特に年上の同僚や上司に対しては攻撃的になる傾向があるようです。

「私が女性でSさんより年下なので、きっとバカにしているんです・・・」
すねた様子でそう言うTさんは、Sさんとの直接コミュニケーションが苦痛になっており、メールや社内チャットでのITコミュニケーションに傾きつつありました。

「ITだと攻撃的じゃないの?」
私の素朴な質問にTさんは悲しそうに一言。
「文字でも攻撃的ですよ。けど、直接だと頭痛や吐き気がするほどにキツイですけど、文字だとそういう雰囲気の時には最後まで読まずに削除すれば済むんで。」

何の解決策にもなっていないのにと私は思いましたが、もう少し詳しくTさんから話を聞いてみることにしました。

そもそもSさんはTさんだけに攻撃的ではないようで、そういう傾向をもともと持っているようですが、最近はTさんに対して攻撃的態度がエスカレートしてきたようです。
詳しく話を聞いているうちに、それはTさんが年下だからとか女性だからというのではなく、別の理由があるように私には思えてきました。

「そういう言い方は、みんなが不愉快になるからやめてください。」
「新人達が威圧的に感じて話しかけづらいから、もう少し穏やかに話を聞いてあげてください。」

TさんがSさんに普段どんな風に話をしているのか尋ねたところ、このようなフレーズが出てきたのです。

「う~~~ん、ビミョーかもね。」
私の返事に何が一体ビミョーなのか、さっぱり訳がわからないという表情のTさん。
そう。Tさんには全く悪気はなく、これがTさんの普段のコミュニケーションスタイルなのです。
けれども人によっては、時と場合によっては、置かれている状況によっては、このような言い方は言われる人にカチンと癇に障るものになってしまうこともあるのです。

いじめっ子と優等生の子どもの会話を想像してください。
「Sくん、迷惑だからやめてください!」
「迷惑って誰がだよ~」
「みんなです!みんな迷惑だって言ってます!」
「みんなって誰だよ!」
「クラスのみんなです。」
「AやBがそう言ったのか?」
「Aさんは言いました。Bさんは・・・。私は迷惑です。」
「だったらみんなじゃないじゃないか!人のせいにしないで、自分が迷惑だって言えよ!優等生ぶって、だからお前なんかすっごい嫌いなんだよ!」

いじめっ子Sくんのキツーイ一言。
でもこれって、すごく的を得ていると思うのです。

自分自身が感じたり思っていたりすることなのに、それを「みんなが」とか「〇〇さんが」と自分以外の他者を隠れ蓑にして相手にメッセージすることは、発せられる内容がその人にとってネガティヴなものである場合、言われる人にとっては決して心地良いものではありません。
むしろ不愉快に感じることの方が圧倒的に多いでしょう。

Tさんにはコミュニケーションの癖として、この他者を隠れ蓑にする傾向が顕著にありました。
マネージャーに抜擢されたことで、みんなの代弁者、もっと全体を把握して自分が発信しなければとの強い思いが変な方向に空回りして、最近特にこのような物言いが多くなっているようでした。

Sさんの攻撃的態度が収まるかどうかは分からないけど、「自分がイヤだ」「自分がやめてほしいと思っている」とIメッセージで話をすることをTさんにお勧めしました。
Iメッセージとは「I(私は)~~だ」と私(自分)を主語にして相手に言いたいことを伝えるコミュニケーションの方法です。

「みんなが不愉快になるからやめてください」
だと
「知らねーよ。みんなって誰だよ! 自分がイヤだって言えよ。この、他力本願!(←ここまで思っているかどうかは分かりませんが💦)
とSさんは感じているかもしれません。
「もう少し丁寧に話してくれると私は落ち着いて聞くことができてありがたいのですが。」
と、「私は」を主語にして言い換えると
「なんだよ、面倒くさいな。けどまあ、ありがたいっていわれるんじゃあねぇ。」
とSさんは思うかもしれません。

Sさんのもともとの攻撃的性格をどうこう矯正することはできません。
しかし、こちらの関わり方如何によっては、その攻撃的な部分を助長することも沈ませることもできるのではないかと思います。

他者を隠れ蓑に話をした方が楽チンかもしれません。
しかしそれは責任逃れ、他力本願、他責そのものとも捉えることができるでしょう。
「私は〇〇と思う」「私は〇〇してほしいと考えている」
相手が攻撃的であればあるほど、Iメッセージは大切ですし、そうでなくても言い辛い事を言わなければいけない場面ほど、Iメッセージを使うことで、言われる相手にこちら側の真摯な思いが伝わるのではないかと思います。

2019年07月02日

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