私が出した、ちょっと頭をひねらなければ簡単には答えが出づらいお題に考え込むワークショップの参加者たち。
「いかがですか? わかった人?」
私の促しに恐る恐る手が上がります。

「ルールを変える」
「いえ、ルールを変えてはいけません」
「〇〇の風にやってみる」
「そうですね、それもありかも。けど、それだとさっきのゴールにたどり着くのは難しくないですか?」

こんなやり取りをしている中で、一人の参加者Yさんが「わかったかも」と手を挙げました。

「〇〇だとスピードが足りないので、△△だと良いと思うので、そのためには・・・」

Yさんの説明が私にはよくわからなかったので、
「ん? もう一度説明してもらえますか? できれば動作付きで。」
とお願いし、前へ出てきて皆にもわかるように話をしてもらいました。

「はい。△△にするために・・・。」
そう説明しながらYさん自身、頭が混乱してきたのか、自分の説明が違うと思ったのか、話がおかしくなってきました。
その様子を見ていた他の参加者からYさんに対する失笑が漏れました。
うなだれて席に戻るYさん。
ファシリテーターとして滅多にない事ですが、私の中で「ピキーン」と音がしました。

「笑わない!」
少し厳しめのトーンでした。
失笑は一気に消え、緊張感が場に走りました。

このワークショップはマネージャー対象。
チームの土壌づくりについての真っ最中。
ある意味、これは絶好の事例であり、学びのチャンスです。
私はその場を覆った緊張感を丁寧にほぐしながら参加者の皆さんにこう言いました。

「勇気を出して発表してくれたYさん。
他の皆さんもそうですが、全く答えがわからない未知のコト、初めての挑戦に対して、自らの考えを手を挙げて発表するのはそれなりに勇気が必要です。
最初っから正解に突き当たるとは限らないし、全くトンチンカンかもしれない。
それでも手を挙げて言うその勇気を称えるべき。
答えを間違えて笑われたことによって、次に手を挙げて言うことがイヤになる、恥ずかしい、バカにされたくないな、などの感情を抱いてしまうことのないよう、間違えていても勇気を称えこそすれ、間違いを笑うことのないよう、それってすごく大切なことですよね。」

みんなうつむいて聞いています。

「笑いにもポジティブな笑いとネガティブな笑いとがありますよね。
さっきのはどちらかと言うとネガティブな笑いだったと思います。
それはチーム力強化のためには褒められたものではないです。
そういったことがあるチームでは意見も出なくなるし、新しいアイデアやイノベーションも生まれない。失敗だって隠してしまうかもしれない。
『笑い』は人にとってもとても大切なエッセンスだけど、その笑いの中身が大切です。
ネガティブな笑いはチームには不適切だと私は思います。」

するとNさんが手を挙げました。
「あの~。僕、分かりました!」

そう言って、お題の答えを全体に説明するNさん。
そして説明の最後にこう付け加えました。
「Yさんの発表を聞いていて、ひらめいたんです。Yさんのが無かったら思いつかなかったかも。Yさん、ありがとうございます。」

それ以上は私が細かく言わなくとも、他の参加者の皆さんもご理解いただけたようです。
必要な笑いとそうでない笑い。
不適切で不用意な笑い(言動)がチームのやる気やチャレンジを奪ってしまう。

Yさん、Nさんのおかげでこのワークショップはとても学びの多い意義深いものとなりました。
お二人に感謝!
私のちょっと厳しいコメントを真摯に受け止めてくれた参加者の皆さんにも感謝!です。

2019年07月15日

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