損害保険会社の営業部を預かるY部長は、社員に元気がないのがとても気になっていました。
部の成績が低迷しているため毎朝の朝礼は厳しい言葉がマネージャーたちから常に投げかけられ、マネージャーはもちろん、社員からも笑顔は消えていました。
「契約が取れるまで帰ってくるな!」
「まだ〇〇〇万円目標に足りない!
夕方になって疲れて帰ってきた社員にも厳しい言葉が待ち受けており、どんどん雰囲気は悪くなってきます。
そんな会社に戻りたくないと直帰が増え、また直行が増え、ますますマネージャー達のイライラは募るという悪循環に陥っていました。

Y部長は意を決してマネージャー達にその思いを語りました。

「営業パーソンは会社の資産だ。彼らは会社という空母を一歩出たら、毎日、ある意味戦いに出かけている戦闘機だ。例えが悪いというならば、F1マシンとピットと思ってもらってもいい。
上手くいって元気に帰ってくるマシンもあれば、疲れて、あるいは傷ついて帰ってくるマシンもあるだろう。ところがピットに帰ってきても傷や疲れが癒えるどころか、あそこに帰りたくない、余計に具合が悪くなると感じる場所だったら、いったいどうなってしまうのだろう。
ちゃんと状態を適切に確認して整えて、また元気に走り出していけるよう鋭気を養うのがピットであるのに、今、この営業部はどうだろう。
直行直帰が増えているのは、ここが彼らにとって『近寄りたくない場』になっているからではないだろうか。
確かに数字は厳しい。けれども目先の数字に一喜一憂するのではなく、営業パーソン一人ひとりが元気に万全な状態で走り出していける状態づくりに気持ちを切り替えてほしい。」

Y部長の思いを理解したKマネージャーはその日から、「どんなに疲れていても帰ってきたくなるチーム作り」を心がけました。
その結果・・・
上手くいったこと、お客様から評価いただいたこと、などの良い報告はもちろんのこと、上手くいかなかったこと、困っていること、わからないこと、などの報告や相談がどんどんと社員から上がってくるようになりました。
これまではただ一方的にあーしろこーしろ、訪問件数が足りないのではないか、説明の仕方が悪いのではないかと、社員にあれこれ言っていたことが実は的外れなことも多くあることが分かってきました。
夕方会社に戻ってきた社員たちからの報告や相談に基づいて適切にアドバイスをしたり、そのまんまで良いと背中を押したり、「帰ってきたくなるチーム」を作ったことで、結果的に適切な営業フォローができるようになり、社員には笑顔と活気が戻ってきて、やがて成果につながり始めました。

最初はY部長の話を綺麗ごとだと軽んじて、Kマネージャーに対しても冷ややかな目で見ていた他のマネージャー達でしたが、Kマネージャーのチームの成績が上がり始めたことで、Y部長の言った意味を初めて理解したようでした。

どんなに疲れていても帰ってきたくなるチーム
それは、エネルギー補給地であり、共に頑張る仲間がいて、そこが自分の居場所なんだと実感できる場所に他ありません。

もしあなたのチームメンバーに直行や直帰が多いようならば、もしかしたらメンバーにとって、チームは「居場所」ではないのかもしれません。
「帰ってきたくなるチーム」=「そこにいたいと思えるチーム」をあなたは作れていますか?

2019年08月19日

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