月1回の美容院へ行くと、顔なじみのスタイリストさんが私にポソリと耳打ちをしてきました。

「今日の尾藤さんのシャンプー、新人の女の子が担当させていただきたいのですが、お願いできますか?」

私の髪質は標準型で扱いやすいらしく、いつもこの時期には新人さん達の登竜門になっています。二つ返事でOKと言うと、「後で感想を教えてくださいね。」と言われました。

 

緊張した面持ちで私のところへやってきた新人Aさん。シャンプー用のクロスをつける手が心なしか震えています。

「今日は朝から雨で髪がボサボサになっちゃった~」とたわいもないおしゃべりを少しして、Aさんが少し落ち着いたところでシャンプー台へ移動しました。

 

気持ちよくない・・・。丁寧には洗ってくれているけど、ちょっと違うんだよな~。イマイチかも・・・・

 

そんな風に思いながらもシャンプーは終了。鏡の前に戻り、カットの前の頭皮と首・肩のマッサージに入りました。

 

お!気持ちいい。力加減もちょうどいいし、ツボに入ってる。気持ちいいよ~。

そんな風に感じると「そうだ!Aさんに言ってあげようっと。」とお節介心がむくむくと湧いてきました。

「すっごい気持ちいい!マッサージ上手ね。」

するとAさんは恥ずかしそうに小さな声で「ありがとうございます」と御礼を言いました。

「すごくいい感じでツボに入ってるんだけど、手は大きいの?」

「私、手はすごく小さいんです。だから、ちゃんと力が入るように手のひらをめいいっぱい広げてや

るように気をつけているんです。」

そう言って、Aさんは本当に小さな手のひらをいっぱいに広げて私に見せてくれました。

「そっかぁ。でもそのおかげで、本当にとっても気持ちいいのよ。せっかくマッサージしてもらっても、『そこじゃないんだけど・・・』『力足りない・・・』と残念な時もあるけど、今日は本当にとってもいい感じ。どうもありがとうね。」

 

そんな話をしているうちに担当のスタイリストさんがやってきて、Aさんは別の持ち場へ移っていきました。私とAさんとのやり取りを聞いていたのか、彼女は笑顔で言いました。

「いつも本当にありがとうございます。あの子、不器用なんですけど一生懸命なので。これからもよろしくお願いいたします。」

 

遠い遠い昔、今から30年も昔。まだ女性の営業はお客様にはなかなか受け入れられずに、先輩や上司と同行していても「女性の営業はうちにはいらない」と面と向かって断られてばかりでした。

そんな状況でも何とか私に担当のお客様を持たせて仕事を覚えさせようと、上司が一番懇意にしていたお客様に、

「どうか育てると思って、尾藤を御社の担当にしていただけないでしょうか。」

と土下座をせんばかりに頭を下げてくれたことを今も鮮明に覚えています。

 

今でこそ大きな顔をして色々なことをしたり言ったりしていますが誰にも新人の時があり、決して一人で成長したわけではないのです。上司や先輩、チームの仲間、そして何よりもお客様に育てていただいたことが一番大きいような気がします。

今はまだ、必死で余裕もなく全力疾走中の新人君たち。みんな君たちを温かく見守ってくれているに違いありません。

がんばれ! 新人君!! Let’s enjoy the present ♪

 

 

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