マネジメント・リーダーシップ

「圧」はあるものとして、向き合う

上司と部下の関係は、評価する側とされる側という「非対称な立場」で成り立っている。
たとえ上司が「評価とは関係ないから、自由に意見を言ってほしい」と言ったところで、
部下が自分の評価を意識して言葉を選ぶのは、無理もない話だ。

かくいう私も、“歯に衣着せぬタイプ”と評されることが多いけれど、
年に2回の評価時期には、自分の発言にブレーキをかけていた瞬間がなかったとは言い切れない。

そんな中、
「朝礼での居眠り社員がゼロに…パナCの出戻り社長が『部下に圧をかけない』で意識する話し方のコツ」
という記事に深く共感した。

記事の中で紹介されていたのは、かつて日本マイクロソフトの社長を務め、
現在はパナソニック コネクトの社長である樋口泰行氏。
実は私も以前、お目にかかったことがある。

そのときの印象は、「偉ぶらない」「柔らかな物腰」、
そして「社員と本気で向き合う姿勢」。
社員の方々からも「熱い!そして優しい!」と慕われている様子が印象的だった。

記事では、樋口社長のこんな言葉が紹介されていた。

私がどんなに「議論の段階では対等でいよう」と言っても、
人事権・評価権がある以上、部下は役職上位者に対しては心理的な“圧”を感じざるをえないもの。
表情ひとつからでも、力の差を感じさせてしまいます。
ネガティブな情報を聞いた役職上位者が一瞬でも怪訝な表情を見せれば、
それは「そんな報告を聞かせてくれるな」と言っているのと同義。
率直なコミュニケーションのためには、部下が感じる圧力を少しでも軽減し、
相手が話をしやすい環境を整えなければなりません。

この言葉に、私は深くうなずいた。

たとえ上司の側が「気心が知れている」「何でも話せる関係」だと思っていても、
部下の側に“無意識の防衛本能”が働くのは自然なこと。
それが「上司と部下」という関係性のリアルだ。

だからこそ、上司は「圧は存在するもの」と理解し、
そのうえで「どうすればその圧を減らせるか?」を日々考える必要がある。
「本音を話してくれない」「最近、距離を感じる」
そうボヤく前に、自分の振る舞いや表情、言葉の選び方を見直すことだ。

「無意識に発してしまう“圧”を減らす努力」
それこそが、上司に求められる“覚悟”なのだと思う。

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