「2:6:2の法則があるし、下2割に手をかけるのはやめよう」
ときどき、こんな言葉を耳にする。
しかし、私はこの考えに強い違和感を覚える。
「優秀」と言われる人たちが集まった組織──
東大でも、ハーバードでも、BCGでも、官庁でも。
どんなにハイレベルな集団でも、その中に「序列」は必ず生まれる。
つまり、「2:6:2」は、どんな組織にも存在する。
そして、多くの場面でこんな議論がされる。
「上の2割は放っておいても伸びる。下の2割は難しいから、真ん中の6割を引き上げよう。」
でも、ここで考えてほしい。
「引き上げる」とは、一体どういう意味だろうか。
たいていの場合、その言葉の背景には
「70点のボーダーラインを超えさせたい」
「平均点を上回らせたい」
といった「管理者側の基準」が潜んでいる。
しかし、私は思う。
それこそが「違う」と。
人の伸びしろや成長スピードは、ひとりひとり違う。
だから本当に大切なのは、誰もが
「昨日の自分よりも、今日の自分が1ミリでも成長できているか」
という視点ではないだろうか。
しかもその「成長」は、決して“平均的な内容”である必要はない。
むしろ、その人が持つ「強み」や「個性」が少しでも磨かれていれば、それでいい。
辛口な言い方をすれば、
「2:6:2の法則が~」と語るバリバリの営業部長も、
“1on1での傾聴力”という物差しで見れば、真ん中の6の下層かもしれないし、
“心理的安全性を育む力”で測れば、むしろ下の2割かもしれない。
そう考えると、「下には手をかけるな」という考え方は、
育成する側の「役割放棄」であり、
「自分のモノサシを一方的に押し付けている」にすぎないのではないか。
今日のあなたより、明日のあなたが、1ミリでも成長していてほしい。
そのために、私は、できる限りのサポートを惜しまない。
そんな上司や評価者がいるだけで、
人は、もっと安心して、自分らしく成長できる。
そして「全体の底上げ」が実現されていく。
私は、そう信じている。
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