会議のやり方を変えるため、
社長と副社長に「会議中は否定しない」というルールをお願いしたあの企業。
回を重ねるうちに、変化に気づいたのは社長と副社長だけではありませんでした。
あるとき、部門長やマネージャーたちに「今、どんなことを感じていますか?」と尋ねてみました。
すると、多くの方が一様にこう答えたのです。
「僕たちも、社長と副社長に依存していたのかもしれない。」
副社長からあれこれ言われるのは嫌だった。
けれど、そのおかげで責任転嫁もできた。
本気で向き合わなくて済んだから、どこか無責任な気持ちがあった。
でも今は違う。
責任を持って取り組むのは正直キツいけれど、
その分、うまくいったときの喜びは、これまでにないほど大きい。
そう話してくれました。
副社長の存在を「仕方ない」と受け止めていた自分たちにも、
依存の要素があったことを、彼らはしっかりと認めたのです。
──会議が変わってチームが変わったのは、
社長と副社長だけの気づきによるものではありませんでした。
部門長やマネージャーたち、一人ひとりの内側に生まれた
「自分自身への問い直し」と、それに伴う「行動の変化」。
その相互作用こそが、大きな変化を生み出していたのです。
チームが変わるとき、
それは誰かひとりの頑張りだけで起きるものではありません。
お互いに影響し合いながら、
少しずつ、しかし確かに、チーム全体が前に進んでいくのだと、
私はあらためて感じました。
こうした事例を紹介すると、よくいただく質問があります。
「社長に『否定しない』と約束してもらうのが、一番難しいんじゃないですか?
どうやってそこまで持っていくんですか?」
たしかに、経営層の方々にこの約束をいただくのは、簡単ではありません。
ですが、私が大切にしていることは、いつも変わりません。
それは、「可能性を信じること」です。
社長、副社長がコミットしてくださる信じること。
約束を守っていただけると信じること。
参加メンバーの中に、何かしらの変化が起きると信じること。
そして、チーム全体に眠っている力を心から信じること。
すべての人には無限の可能性がある。
すべてのチームにも無限の可能性がある。
信じることから、すべてが始まるのです。
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