「会議の席では、『否定的発言をしない』」
という約束を社長、副社長と固く交わした後の最初の経営会議。
私はオブザーバー&ファシリテーターという役割で参加させていただきました。
参加者たちは、これまでと同じように、社長と副社長の顔色をうかがいながら発言していました。
副社長から質問が出る場面はありましたが、これまでのような詰問や否定的な発言は見られず、
参加者たちには少し戸惑いの色さえ浮かんでいました。
一方で、社長はこれまでと打って変わり、未来志向かつポジティブな質問を積極的に投げかけていました。
こうして3-4回ほどの経営会議を重ねた頃です。
ある日の会議で、参加の部門長や担当部署のマネージャーから、社長に質問が投げかけられたのです。
これは、今までで初めての事でした。
社長は嬉しそうな表情で丁寧に答えていらっしゃいました。
次に、別の質問が副社長に向けられました。
副社長は、
「私に質問をするなんて、今までで初めてだ!これは記念すべき会議だな。
こういうのを待ってたんだ。」
嬉しそうにおっしゃり、社長同様、とても丁寧に答えていらっしゃいました。
その日から、会議の空気がガラリと変わりました。
これまでは質問の矢印が一方通行だったものが、いつの間にか多方向に飛び交うようになり、
活発な議論の場に姿を変えたのです。
一番驚いたのは、社長と副社長でした。
彼らに議論ができる要素があっただなんて・・・
議論の内容は、まだまだ磨きをかける余地があるようです。
しかし、社長、副社長、各部門長、マネージャーたちが、
役職や部門の壁を越えて、一つの「経営会議チーム」として
互いを尊重しながら前向きに話し合う様子は、
数か月前に「これ、会議?」と私が感じたのとは全く別のモノでした。
終了後、社長と副社長はこうおっしゃいました。
「『絶対に否定しない』と約束した時は、正直こんなことで変わるのか?と思ったけれど、
こんなに効果があるなんて、本当に驚いた。」
「彼らに能力がなかったんじゃなくて、私たちがその力を封じ込めてしまっていたのかもしれない。」
「おかげで、経営会議が良くなっただけじゃなくて、
部門障壁が格段に低くなって、いろんな良い事が起こっている。
会議のやり方一つで、本当に会社が変わるんだね。」
社長と副社長の「人を、次世代を育てたい」という強い思いが、
「否定しない」という小さな実践につながり、
そして会社の空気を確かに変えたのです。
もちろん、会議のやり方に正解はありません。
チームの人数、関係性、目指すゴールによって、最適な形は異なります。
しかし、会議の様子を見ると、その構成メンバーの関係性が見えてきます。
会議を変えるとは、単なる進め方を変えることではありません。
メンバー同士の関係性を、根っこから再構築することに他ならないのです。
──さて、あなたの会社、あなたのチームの会議は、どうでしょうか?
もっと実のある会議を目指すとしたら、
あなたなら、どんな工夫をしてみたいですか?
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