先日、海外のビジネススクールに留学中の友人から、こんな相談を受けました。
「人材開発会社の新しいサーベイを、どう市場に広げていけばいいか?」
無形商材で、しかも“成果が見えにくい”サービスをどう届けるかという課題です。
これはまさに、私がこれまで現場で向き合ってきたテーマでもあります。
今回は、その友人への返信をベースに、
営業の原理原則と、無形商材における信頼の築き方について整理してみました。
営業で最も大切なのは、“信頼されること”
私はJTBで法人営業をしていたのち、人材開発業界に転職しました。
最初は営業からのスタートでしたが、
どちらにも共通していたのは「無形商材を扱っている」ということです。
無形商材では、お客様はそのサービスの内容をイメージすることしかできません。
どんなに詳しくイメージしたとしても、お客様が描いたイメージがリアルであるかと言えば、
それは誰にも分りません。
だからこそ、
「この営業さん(この会社)なら大丈夫」「万が一、何かあってもきちんと対応してくれる」
という信頼があって、初めてお客様の意思決定が動きます。
この信頼を新規営業でいきなり獲得手に入れるには、時間がかかります。
そこで非常に効果的なのが「紹介営業」です。
自分が信頼・尊敬する人から紹介された人やサービスであれば、
「あの人が言うなら話くらいは聞いてみようかな」と思う人も多いでしょう。
つまり、紹介いただいた時点で、
あなた(営業パーソン)には紹介してくれた方の信頼の実績が付加価値として加わっているということです。
紹介してもらうには、お願いの仕方に工夫を
紹介を広げるコツは、「紹介してください」と言わないことです。
「こういう形で世の中にもっと貢献したいと思っています。」
「あなたが喜んでくれたように、他のお客様にも届けたいんです。」
そう伝えることで、紹介する側の心理的ハードルがぐっと下がります。
あなたがお客様にとって役に立てている存在であれば、
お客様もあなたの役に立ちたいと思ってくださるかもしれません。
いきなりの「紹介してください」は、頼まれた方の心理的ハードルを上げますが、
あなたがその方に対して、何らかの役に立てているのであれば、
じゃあ、ちょっと恩返ししてあげようかな、と思っていただけるかもしれません。
ただし、この場合の紹介は、あくまでも「こういう人がいるから、ちょっと話をきいてあげてくれるかな」
程度のものであり、つなぎ役になっていただくということです。
それ以上を決して求めてはいけません。
また、紹介いただい場合、紹介してくださった方への報連相はタイムリーに行うこと。
「あとは適当にやって。」と仰られたとしても、決して、そのままにしないことです。
紹介いただいたご縁は大切にして、良い時もそうでない時も、
しっかりとご報告と感謝をお伝えすることが大切です。
営業の鉄則:“話す”より“聴く”
営業の鉄則、それは「話すのではなく、聴く」です。
最初からサービスを語りすぎると、相手は身構えます。
売りつけられている感、押し付けられている感、満載です。
- どんな課題を抱えているのか?
- どこに困っているのか?
- どうなりたいと思っているのか?
お客様のニーズを丁寧に聞いたうえで、
「そのお悩みを解決できるサービスがあったら、話を聴いてみたいと思われますか?」と尋ねる。
これだけで、お客様の関心はこちらに向き、私たちの話に真剣に耳を傾けてくださるようになります。
伝える順番は「Why → How → What」
サービスを提案したいとき、その順番がとても重要です。
例えば、新規開発したサーベイであったとしたら、以下のようになります。
- Why:どんな未来が得られるか?(離職率が下がる/エンゲージメントが上がる)
- How:どんな方法で?(他社にない分析や、アレンジ可能な設計など)
- What:そのための商品がこれです(今回のサーベイ)
これはスティーブ・ジョブズのプレゼンに近い考え方で、「顧客に未来を見せる力」がカギになります。
また、サイモン・シネックの「Whyから始めよ」にも、この順番がなぜ効果的かが書かれていますね。
興味のある方は、是非、ご一読ください。(TEDのYouTubeはこちらから)
あなたから買いたいと思ってもらえるか?
最後にひとつ、強く感じていることがあります。
「信頼を売ること」は、無形商材に限った話ではありません。
有形であっても、ほとんどの商品やサービスには代替品があります。
トマトはトマト。ペンはペン。
ユニクロの服だって、接客次第で「やっぱり無印にしようかな」となることもあります。
つまり、99.9%のサービスや商品には“代わり”があるのです。
お客様側のスイッチングコストがそれほど高くない場合、
「モノ」ではなく「誰から買うか」で決まります。
「あなたから買いたい」「あの会社だから買いたい」と
お客様から「選んでいただける」ことが何よりも重要!
そういう意味でも、営業はすべて「信頼構築業」なのだと思います。
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