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我が家の前はぴっかぴか

我が家のマンションは管理人さんが常駐ではなく通いです。以前は家を出る時間が管理人さんの出勤時間よりも早かったので、顔を合わせることも少なく、たまにお会いしても「おはようございます」とお決まりの挨拶を交わすにすぎませんでした。

どちらかというと無口で大人しそうな小柄な男性です。我が家のマンションにお勤めいただくようになって既に5-6年は経つかと思いますが、住人の方々が管理人さんと言葉を交わすことは本当に必要最小限、管理人さんの方も「話しかけないでオーラ」が出ている感じがしました。

 

1年前から私の活動時間帯が変わり、管理人さんとはほぼ毎日顔を合わせるようになりました。ワンコのお散歩の時に「おはようございます!」お散歩から帰ってくると「戻りました~」仕事へ出かける時には「行ってきます!」こんな感じで毎日毎日、私の方から元気に挨拶を心掛けました。話しかけないでオーラが出ているからと言って、毎朝顔を合わすのに味も素っ気もない挨拶をするよりも、どうせならご機嫌さんな挨拶をしたい。そう思って、毎朝元気に挨拶をしました。

 

そんな片思いの挨拶が10か月ほど続いたでしょうか。

いつものように非常階段をワンコを抱っこして降りていると、「おはようございます!」と声が聞こえました。何と!廊下の向こう側にいた管理人さんが、私とワンコの会話を聞きつけてか、わざわざお掃除の手を止めて非常階段のところまで挨拶に来てくれました。

また別の日、仕事のバッグとゴミを両手に抱えてあたふたしている私を見つけて「ゴミ、お預かりします。出しておきますから。行ってらっしゃい!」とニコニコしながら送り出してくれたのです。初めてだ~。今まではどんなに両手いっぱいに荷物を抱えていても、黙々とお掃除だけしていて、どちらかというと気の利かない感じの人だったのに・・・。

それからというもの、毎朝毎朝、管理人さんの方から声をかけてくれるようになり、ゴミを受け取って出してくれたり、エレベーターのボタンを代わりに押してくれたり、相変わらず恥ずかしそうではありますがニコニコと穏やかな笑顔で毎朝、挨拶とお見送りをしてくれるようになったのです。

なんだ~。管理人さん、本当は優しい笑顔の素敵な人じゃない。そう思い、それからは「おはようございます!」とただ言うのではなく、お名前も一緒に呼びかけることにしました。

「森下さん、おはようございます!」

最初、管理人の森下さんはとても驚いていました。

「え?私の名前、憶えていただけているのですか?」

「当たり前ですよ、森下さん。おはようございます!」

森下さんはとても恥ずかしそうに、しかしとても嬉しそうに挨拶を返してくれました。

 

最上階角部屋の私の部屋の前は、どちらかというと吹き溜まりになることが多いのですが、ある頃から、いつもいつもとても綺麗なことに気がつきました。玄関の前も、すぐ横の屋上へ通じるドアも、私の部屋の前はなぜだかいつも綺麗なのです。

きっと、森下さんがぴっかぴか~にお掃除してくれているに違いありません。だって、私は毎朝、そこまではとても手が回りませんから・・・

 

初めて会ってから5年余り、とっても不愛想だった管理人さん。今ははにかみ笑顔が素敵なとっても親切であったかーい管理人の森下さんに大変化しました。

人って、こちらの良いように無矢理変えてやろうと思って、お互いに良い思いをしないことが多いですよね。しかし、こちらの関わり方をほんの少し変えてみるだけで、予想を超えた良い変化が見られることもあるのです。

そう言えば昔々、上司に言われたことがあります。

良いお客様とか悪いお客様とかがいるのではない。良いお客様になるのも悪いお客様になるのも、すべてはこちらの接し方、考え方次第なんだよ。もし、自分のお客様はちょっと・・・ と思う方がいらっしゃるとしたら、それはお客様ではなく君の考え方や態度を見直してみることが大切なんだよ、と。

 

私のお部屋の前はいつもぴっかぴか~。管理人さんと良好な関係が築けているということですね。管理人さんとだけでなく、OnでもOffでも私が関わる方たちとは良好な関係でいられるよう、常に心掛けたいと思っています。

 

 

 

 

 

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