マネジメント・リーダーシップ

マネジメントの本質は『問いの質』:メンバーの行動しない真因をどう見抜くか

自分たちで「よし!やろう!」と自発的に始めたチームミーティングが、いつの間にか尻すぼみになり、行われなくなっていることに気づいたマネージャー。

もしあなたがこのチームのマネージャーだったら、どうしますか?

  1. 「自分たちで決めた事なんだから、ちゃんとやれよ!」と行動を促す。
  2. 自発性を重んじ、自分たちで気づいてまた始めるまで言わないでおく。

私なら、このどちらでもありません。

なぜなら、これらの行動は「表面的な事実」に囚われており、「真因」を確認できていないからです。

1. 事実と真因を分離する

「ミーティングが行われていない」のは、単なる事実です。
マネージャーがまず論理的に行うべきは、この事実の背後にある真因を探ることです。

「だいたいはこんなところだろう」とおおよその見当をつけても、あなたの見立てが正解とは限りません。
戦略的な意思決定は、推測ではなくデータ(メンバーの認識)に基づいて行われるべきです。

考えられる真因は多岐にわたります。

  • 機能的代替: Slackなどのツールで情報共有が十分に行えており、本当に不要になった。
  • 心理的障壁: 建設的な議論ができず、「意味がない」と感じ始めた(心理的安全性の問題)。
  • 目的の希薄化: 当初決めた目的を忘れ、惰性になっていた。

これらの真因を確認せずに行動を促すことは、的外れなマネジメントになります。

2. マネージャーがとるべき実践的な問いかけ

では、どうすれば真因を確認できるのか。
私なら、そのままストレートに、かつニュアンスに細心の注意を払って確認します。

「この頃、ミーティングはないの?」

あえて「やらないの?」ではなく「ないの?」と問う。
この主語とニュアンスの問題は、実はマネジメントにおいて非常に大切です。

  • あなたたちはやらないの?」:
    主語が「人」になり、責め立てるニュアンスを生み、メンバーに防衛反応を引き起こします。
  • 「ミーティングはないの?」:
    主語が「事象/状態」になり、事実確認に徹している。
    これは、「マネージャーとしてチームの機能不全に関心を持っている」というメッセージを、プレッシャーなく伝える、論理的な一歩です。

まずは理由を知る。
彼らなりの理由があって、「今は必要ない」「しばし休憩」と考えているのかもしれません。
マネージャー側の一方的な「やったほうがいい」という思い込みだけで、介入してはいけません。

3. 放置はマネジメントの職務放棄

そして、一番避けるべき選択。
それは、真因が明確でないにもかかわらず「何も言わないでおく」という選択です。

一見、メンバーの自発性を重んじているように見えますが、それはマネジメントの怠慢だと私は考えます。

リーダーの役割は、「やる/やらない」を正しく判断し、やるなら「いかに効果的に行うか」を考えることです。

水面下で起きている真因に目を向けず、表面上の事象を放置することは、チームの自律的な成長の機会を奪うことにも繋がります。

マネージャーの仕事は、自分の人間力と、状況を論理的に判断する力を鍛える、実にありがたい役割です。
「問いかけの質」は、チームを機能不全から救い、自律的な組織へと導く鍵となります。
これは、常にリーダーに求められる「状況判断力」と「介入の質」に直結します。

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