無事是貴人 (ぶじ これ きにん)
意味「良いことも悪いことも原因を他に求めるのではなく、常に気持ちにゆとりを持ち、あるがままの自然の姿で生き、飾ることなく人と関わることができる、そういう人こそが貴ばれる人である。」
一般的に、「無事」とは何事もなく平穏であることや健康、安全であることで使いますが、ここでは使い方が違います。
あれこれ考え心を労したり、悟りや迷いを考え求めるのではなく、今のこの平常心であるがままであることを言います。
また、「貴人」とは貴族や身分が高い人という意味ではなく、貴ばれる人、大切な人を言います。
私たち人間は日常時間がにおいて、喜んだり楽しんだり、一方、悩み落ち込み悲しみ苦しみ・・・・。
うまく行かない時ほど過去を振り返り自分以外の他に原因を求めてしまいます。
しかしそれは、ただ心が疲れ切ってしまうことになるのではないでしょうか。
振り返ることは必要かもしれません。
しかし考える時間が続くことで苦しみや悲しみが却って長引き、心も体も弱らせてしまうこともあるからです。
不幸のどん底にいる時は、小さな幸せに気づくことは難しいものです。いえ、大きな幸せでさえ見逃してしまうかもしれません。
けれども、気持ちに余裕がある時、すなわち平常心であるならば、周囲の小さな変化や他人の気持ちの機微にも、見落すことなく気づくことができるものです。
気づくというよりも、「感じる」「見える」という感覚の方が近いかもしれません。
「無事」でいることは、そう簡単ではありません。
しかし、無事であるから見えてくるもの、そうでないがために見失ってしまうものが沢山あることを、私たちは経験から既に知っています。
無事是貴人
あるがままに。飾らず。他に何かを求めない。
難しくとも自らに課していきたい人として大切な言葉です。