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心に灯をともす

「Mさんのあんな表情、ものすごく久しぶりに見た気がします!」
そう言って驚きの声を上げたのは、A社の人材開発部マネージャーTさんでした。

2日間にわたって各日異なる対象者の皆さんに同じプログラムを実施している2日目午後の事でした。
普段はなかなか入ることが許されないセキュリティが厳しいオフィス内ですが、その日は休憩時間中に所要があり、オフィス内にお邪魔をすることを特別にお許し頂きました。
その際、前日の受講者だったMさんが私を見つけ、多少の照れ笑いもあったかとは思いますが、仕事の手を止めて立ち上がり、満面の笑みで会釈をしてくれたのでした。

前日の研修においては、Mさんの表情は終始、「眉間に皺」でした。
体験プログラムにおいて20人ほどの受講者の皆さんは同じ体験をしているにも関わらず、他の皆さんとは一人異なる感想・気持ちの変化を語っていたMさん。
その時にも笑顔はなく眉間に皺。
しかし、受講時における様子が否定的だったわけではなく、ただひたすら、眉間に皺だったのです。

表面的な表情や声、態度に惑わされない。
人の内面の小さな変化は見た目にはわからないこともたくさんある。
たとえ反抗的な態度や反論、否定的意見が出たとしても、その人の内面と表面に出てきているものがイコールとは限らない。
だから常に冷静に、見えない部分を心の目で見る。
決してレッテルを貼らない。

常に自分にそう言い聞かせて現場に臨んでいます。

Mさんの少しはにかんだ、本当はシャイでとても優しい人だと感じさせてくれるその笑顔に、本当のMさんの姿を見た思いがしました。

「Mさん、昨日、何か掴んだんでしょうかね。」
Tマネージャーの問いかけに、「そうだと嬉しいのですが」と答えた私です。

人が成長できるかどうか、変われるかどうかは、結局はその人次第です。
どんなに私たちが誠心誠意真心を込めてプログラムをお届けしても、人が成長するとき、変わるときというのは、その人が勝手に進化していくのだと思います。
私たちにできるのは、表面上の様子やこれまでの評判に惑わされることなく、その人たちの成長と変化を信じて最善をお届けするだけです。
その上で、万が一にも心に灯をともすお手伝いができたなら、これほど嬉しいことはありません。
灯をともすのは本人。私たちができることはあくまでもその「お手伝い」。
大切なことは、お一人お一人の心の中の小さな変化の芽も摘まぬよう、やっと灯りかけた火を消してしまわないよう、可能性を信じ切ってそのお手伝いをすることだけです。

「眉間に皺」が強烈な印象だったMさんでしたが、今ではすっかりあの素敵な笑顔が私にとってのMさんのイメージなっています。

「関わる人たちの笑顔と喜びと幸せづくりのお手伝い」
こんなにもやりがいのある仕事をさせていただけることに感謝の気持ちでいっぱいになったA社様での出来事でした。

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