昨日に続き、初釜でのお話です。
何度も事前に時間を確認していましたが、お席が始まって少ししてから中国からの留学生Sちゃんが遅れて入ってきました。
バツが悪そうに末席に座る彼女の足元は真っ赤な靴下でした。
お茶席では和装では白足袋、洋服でも白のソックスと決められています。
いつも一緒にお稽古しているSちゃん。一体、どうしてしてしまったのでしょう。
そう言えば、この前のお茶会でも遅れてきたしな・・・・。
そんなことを思っていました。
「Sちゃん、赤いソックスまずいよね。」
隣に座っている仲良しのMさんに声を潜め私が囁くと、Mさんは私が思っていもいなかったことを言いました。
「中国ってお祝いの席は赤じゃない。結婚式とかでも。初釜はいつもと違ってオシャレしてきていいって言われて、だから、おめでたいお席だとSちゃんなりに考えたんじゃないかなぁ。」
Mさんの言葉を聞き、彼女の懐の深さに感心すると共に、自分の未熟さを恥じ入りました。
「遅刻してきて、おまけにソックスが赤だなんて!」と心の中でSちゃんに小さな非難の声を浴びせていた自分がたちまち恥ずかしくなり、「私って、ただの意地悪おばさんだわ」と思いました。また、未だネガティブアプロ―チの思考癖が抜けていないことを猛省しました。
Sちゃんに確認する機会がなかったので、実際にどうだったのかは分かりません。しかし、休憩時間に社中の先輩から注意されて白いソックスに履き替えていたSちゃんは涙ぐんでいました。そこから察するに、Mさんの言う通り、Sちゃんなりに良かれと思ってしたことだったのかもしれません。ちなみに、遅れてしまったのは交通機関の乱れだと分かりました。(そうであっても遅刻はあり得ないと、先輩にみっちり絞られていましたが・・・)
Sちゃんの赤いソックスの真実はどうであれ、私は物事を見る目がまだまだ偏っている、人にレッテルを貼る癖が完全には抜けていないという事は確認できました。
私にとってはちょっぴりほろ苦い事実確認ではありますが、分かってよかったと思っています。