「今日の朝ごはん、ご飯とパン、どっちがいい?」
と尋ねると
「ご飯でいいよ」
と父は答えます。
「デザート、イチゴとリンゴ、どっちがいい?」
と尋ねると
「イチゴでいいよ」
と答えます。
いつもの会話ですが、そのたびに私は父に問い返します。
「イチゴがいいの? それともどっちでもいいけど取り合えずイチゴでいいの?」
父には私が問い返す意味が伝わりませんが、母が苦笑いしながら通訳兼回答をしてくれます。
「イチゴがいいの」
「今日はどっちでもいいみたい」
などなど。
食事のメニュー程度なら大きな問題はありませんが、これが職場での会話となると、「で」と「が」を使い間違えるだけで、相手に大きな影響を与える可能性もあります。
「今回のプロジェクトメンバーはAくんでいいか。」
誰でもいいんだけど、Aくんでも選んでおくか、という意味に取れますね。
「今回のプロジェクトメンバーはAくんがいいね。」
複数名の中からAくんが一番適切と考えた、と受け取れます。
「三案の中で、これでいいんじゃない。」
他のでも別にいいんだけど、とりあえずコレにしおくか、という意味に取れます。
「三案の中では、これがいいんじゃない。」
三つのなかではコレがベストだ、と受け取れます。
つまり、「で」の場合には「どっちでもいい」「他でもいい」という、ちょっと残念な意味に取れますが、「が」の場合には「一番」「ベスト」「〇〇が必須」というような前向きな意味に捉えることができます。
言う方は特に何も考えず、気軽に「で」「が」と使っているかもしれませんが、聞く方からしてみると、たった一言、たった一文字の違いでも、そこから受け取れる意味合いは大きく異なり、モチベーションにも大きく影響するかもしれませんし、プライドが傷ついたり逆にとても誇らしく感じたり、気持ちを左右する一文字でもあります。
たかが一言、されど一言。
「で」と「が」を意識して使うことは、実は相手に与える意味合いが大きく違うことを今一度認識しておいた方が良いでしょう。
あなたが気軽に発した一言でメンバーがガッカリした表情をしたり、奥様が不機嫌になったり、お子さんが口を尖らせてしまったり・・・
もしかしたら、あなたは無意識に「で」を使っているのかもしれませんよ。