スーパーのドラッグ売り場で、80歳くらいのおばあちゃまが何か商品を探している様子でした。たまたま傍にいたスタッフと思われる30代半ばくらいの女性に声をかけました。
「すみません。身体を洗う石鹸はどこですか?」
「私はS社の者で、自社の商品の確認に来たのでわかりません。」
若い女性はこう言うと自分の仕事に戻りました。
私は売り場のどこに何があるのか大体わかっていたので、そのおばあちゃまに石鹸の場所を教えて差し上げました。そこは、S社の方が作業をしている1メートルほど先の棚でした。
冷蔵庫が壊れてしまい、大手量販店に行った時のことです。メーカーから来ている販売員さんが沢山いらっしゃいました。その中で、たまたま私が声をかけたのはH社から来ている20代と思しき男性でした。
冷蔵庫には色々あって何を重視するかで選び方が異なることを説明してくれ、私は何に重きを置いているかを質問されました。私が重視しているポイントをいくつか言うと、それに見合う各社のお勧め冷蔵庫を丁寧に説明してくれました。
「自社の商品でなくてもよく勉強してるな~」と感心したものです。それに、決して自社の商品を特に強く勧めるのではなく、どれも公平に、まさに私の立場になって説明してくれました。H社からの助っ人ではあるけれども、売り場に立っている時には大手量販店のスタッフとしてお客様に真摯に向き合っている男性に、とても好感が持てました。
当初はP社にしようかなと思って出かけたのですが、結局、H社の製品を購入しました。
スーパーでの出来事は日常、よくある事かもしれません。
量販店での出来事は、簡単なようで実はとても難しいことです。
そう言えば若かりし頃、旅行のパッケージ商品について、自社のものだけでなくK社もT社もN社も特徴を勉強し、お客様にはそれぞれの良いところをわけ隔てなく説明するようにと先輩から教えてもらいました。決して自社ブランドに偏るなと。
また、添乗先で困っているお客様を見かけたら、それが自社取扱いのお客様でなくても旅のプロとしてお声がけするようにとも教えられました。
ドイツのハノーバーへ行った時、他社扱いのグループのバスが時間になっても迎えに来る様子がなく、添乗員なしのグループで皆さんとても困っていたので、私が添乗するツアーのバスへ同乗していただいたことがありました。たまたま行先(ホテル)が同じということもあったのですが、同じ日本人のお客様のお手伝いができて良かったと思っています。
そしてその後・・・・。私のグループのお客様から、「なんか、すっごい誇らしかったよ。」とお褒めの言葉を頂き、嬉しくてたまらなかったことも覚えています。
営業だから自分の商品を一番に売りたい。自分のお客様を一番に考えたい。
その気持ちは痛いほどよくわかります。
でも、お客様が見ているのは商品ではなく営業という「人」なのかもしれません。
あなたはどんな営業を目指しますか?
私は人間味溢れる営業を目指します。