マネジメント・リーダーシップ

「響かない部下」に悩むマネージャーが気づいた、たった一つのこと

「いくら言っても、どんなに時間をかけても全く響かない。
檄を飛ばしても褒めそやしても、表情を変えることさえしない。
一体何を考えているのか全くわからない。もうお手上げだ……」

そう言って頭を抱えたのは、Sさん。
将来の役員候補とも言われるほどの 優秀な経営企画マネージャー です。
これまで数々の成果を出してきたSさんですが、
ある異動メンバーのYさんに対して、
どんなアプローチをしても全く手応えがない と悩んでいました。

「もう、どう接していいのかわからない。」

そんなSさんに、私は尋ねました。

「Yさんって、どんな人ですか?」

履歴書や職歴書では、人はわからない

Sさんは、Yさんの経歴をスラスラと話してくれました。

前部署での仕事実績
保有資格
学歴・家族構成

でも、私が知りたかったのはそういうことではありませんでした。

「いえね、そうじゃなくて。
履歴書や職歴書に書いてあることじゃなくて、
Yさんの人となりってどんな感じですか?」

Sさんはキョトンとした表情で私を見ました。

「Yさんが全く響かないとか無表情とか、
『そういう人なんだ』じゃなくて、
そうなっている理由があるんじゃないかと思うんですよね。

「何かがあって、そういう態度を取っているのかもしれない。
だから、Yさんがどんな人なのか、本当の意味で知っていますか? と思って。」

Sさんは黙って私の話を聞いていましたが、
最後に 「そうですね……」 と一言だけつぶやき、その場を去りました。

1週間後、Sさんの気づき

その1週間後、Sさんから連絡がありました。

「『人を知る』というアドバイス、ありがとうございました。」

Sさんは、Yさんの過去の上司や、
彼のことをよく知る同期・関係会社の人に話を聞いたそうです。
そこで 「Yさんがなぜ自分に対して心を閉ざしていたのか?」 について、
少しずつ見えてきたことがあったと言います。

「……と言うか、気づいたんですよね。」

私はこれまで、Yさんにも他のチームメンバーにも、
『人と人』の接し方をしていなかった。

「実は私、
『鉄仮面』とか『サイボーグ』とか『アイスマン』とか言われていたらしいんです。(笑)」

「確かに、経営企画の仕事柄、感情を出さずにロジックとデータで進めるのが当たり前でした。
でもそれが、人との関係性を築く上では間違っていたのかもしれません。」

「これからは、もっと人間らしく振る舞おうと思います。

人を知ることが、すべての始まり

Sさんが感じたように、どんな仕事でも、結局は「人と人」
経営企画でも、総務でも、営業でも、友人関係でも、ご近所付き合いでも、
すべては 「相手を知ること」から始まる のです。

なぜ、その人は今の態度を取るのか?
どんな価値観を持っているのか?
どんな経験が、その人の考え方を形作ったのか?

これらを知らずして、関係性を築くことはできません。

もし、あなたにも「どうしても関係が築けない人」がいるなら、
もしかしたら 「その人のことを、まだ深く知らないだけ」 かもしれません。

「人を知る」ために、今日からできる3つのこと

では、どうすれば「人を知る」ことができるのでしょうか?
今日からすぐに実践できる3つのポイントを紹介します。

① 履歴書や職歴書にない情報を意識する

その人は、どんなときに嬉しそう?
どんな話題に興味を持つ?
どんな仕事の進め方を好む?

表情や態度、何気ない会話の中に、その人の「本音」が隠れていることがあります。

② まずは自分から「心を開く」

「あなたのことをもっと知りたい」と素直に伝える。
自分のこともオープンに話し、対等な関係を築く。

「私はこの仕事にこういう想いを持っているんだけど、Yさんはどう考えてる?」
と、少しずつ対話の機会を増やしていくことで、相手も心を開きやすくなります。

③ 第三者の視点を活用する

その人のことをよく知る同僚や、過去の上司に話を聞く。
「Yさんってどんな人?」と周囲に尋ねてみる。

Sさんもこの方法で、Yさんが自分に対して心を閉ざしていた理由を知ることができました。

「直接聞きづらい」と感じる場合は、周囲から情報を集めるのも有効な手段です。

結局、すべては「人と人」

「人を知る」ことが、すべての始まり。
履歴書や職歴書にない、その人の本当の姿を意識する。
自分から心を開き、対話を増やすことで関係性を築く。

もし、関係がうまく築けない人がいるなら、こう考えてみてください。

「私は本当に、その人のことを知っているだろうか?」

そして、「知る努力」を始めてみる。
そこから、すべてが変わっていくかもしれません。

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