異なる考え方の相手に対して、自分の意見を言うことができなかった。
ちゃんと考えや想いを発信できる自分になりたい。
でも、相手がどう考えるかはその人の課題なので、自分の意見を伝える必要はないという考え方もある。
つまり、人を変えたりコントロールしようとしないという意味で。
私はどうすればいいですか?
こんなご相談をいただきました。
「人を変えようとしない」「コントロールしようとしない」
私はこの考え方には深く同意しています。
しかし、この原則を極端に解釈すると、時にコミュニケーションの誤解を生むことがあると感じています。
もちろん、相手を自分の思い通りに動かそうとすることはできませんし、すべきではありません。
私たちは、誰かの人生をコントロールする権利など持っていないからです。
しかし、「意見を言うこと」と「相手をコントロールすること」は、同じではありません。
例えば、コーチングのコーチは、クライアント中心に話を深く聞き、自分のコントロールを完全に手放します。
しかし、「I think」(私はこう思う)や「I feel」(私はこう感じる)という言葉も使います。
これは、自分の考えや感情を率直に伝える行為であり、クライアントが新たな視点を得るきっかけになる場合があります。
その意図は、クライアントを意識的に「変えよう」とすることではなく、クライアント自身の「気づき」や「選択肢」を広げるサポートです。
あくまで「情報」や「視点」であり、それを受け取り、どう活かすかは、クライアントの自由意志に委ねられているからです。
「意見を言う=コントロール」だと考えてしまうとしたら、それは「意見を言われること」自体を「コントロールされること」だと捉えているのかもしれません。
あるいは、自分が「意見を言う」時には、無意識に相手を「コントロールしよう」としている、ということの裏返しなのかもしれません。
なぜなら、人は自分が知っている世界、経験した範疇でしか物事を捉えることができないからです。
「人を変えることはできない」という大原則は、私たち自身が他者に過度な期待や干渉をしないための、大切な教訓です。
しかし、その原則が「自分の意見を言わない」理由になったり、「他者の意見を拒絶する」理由になったりしては、本末転倒ではないでしょうか。
私たち一人ひとりが自分の考えを「I think」として共有し、対話を通じて互いの世界を広げていくこと。
それが、真に相手を尊重し、共に成長していくためのコミュニケーションだと私は信じています。
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