マネジメント・リーダーシップ

なぜ『自分軸』がないリーダーは結果を出せないのか?

「私には自分軸がある」
そう確信しているリーダーほど、実は危険かもしれません。

先日、ある企業の役員様からこんな相談を受けました。
「優秀なマネージャーのはずなのに、なぜか部署の業績が上がらない。本人に聞いても『頑張っています』としか言わない。何が問題なのでしょうか?」

実際にそのマネージャーと面談してみると、驚くべき事実が判明しました。
一見しっかりしているように見える彼に、決定的に欠けていたもの。
それが「自分軸」だったのです。

「自分軸がある」と勘違いしやすい4つの落とし穴

落とし穴1:慎重に検討しているつもりで、実は「決断できない」だけ 
「もう少しデータを集めてから」「他社事例をもう少し調べてから」と、一見慎重で論理的に見える。
しかし、どれだけ情報を集めても決断が遅い。
本人は「慎重に分析検討している」つもりだが、実は自分の判断基準がないため、いつまでも決められずにいる。
会議で積極的に発言し、方針を決めているように見えても、常に周囲の反応を見ながら「これなら反対されないだろう」という判断をしているだけで、本当に必要な、時には不人気な決断ができない。


落とし穴2:一貫しているつもりで、実は「場当たり的」 
「私は一貫している」と言いながら、A部長には「効率重視で」、B部長には「品質第一で」と、相手によって違うメッセージを発している。
本人は「相手に合わせている」つもりだが、組織全体で見ると方向性がバラバラになっている。

落とし穴3:自信があるつもりで、実は「権威に依存している」 
「経営陣の方針だから」「業界のベストプラクティスだから」「○○さんが言っていたから」。
一見論理的で自信に満ちた説明に聞こえるが、すべて他者の判断基準に依存している。
いざという時、自分の責任で判断できない。

落とし穴4:結果にコミットしているつもりで、実は「言い訳の準備」をしている
目標設定の段階から「ただし、市場環境が変われば」「上からの支援があれば」という条件をつける。
失敗した時の責任回避ルートを無意識に確保している。

自分軸があるリーダーとの決定的な違い

真に自分軸があるリーダーは、不人気でも必要な決断を下します。
なぜなら、自分の価値観と判断基準が明確だからです。

例えば、ある製造業の工場長は「安全第一」という自分軸を持っていました。
売上目標達成のプレッシャーが高まる中、生産ラインの安全点検で小さな異常を発見。
「このくらいなら大丈夫」という現場の声もありましたが、彼は迷わず生産を停止しました。

結果的に、その判断により重大事故を未然に防ぎ、後に会社全体の安全管理体制見直しのきっかけとなりました。
短期的には生産目標を下回りましたが、長期的には会社の信頼性向上につながったのです。

なぜ「自分軸の欠如」が業績に直結するのか

自分軸がないリーダーの下では、チーム全体が「正解探し」に時間を使うようになります。
「上司は本当は何を望んでいるのか?」「どう答えれば評価されるのか?」といった思考パターンに陥り、本来の目的である「成果を出すこと」への集中力が削がれてしまうのです。

さらに深刻なのは、リーダー自身が常に不安を抱えていることです。
その不安は必ず部下に伝わります。
「この人について行って大丈夫なのか?」という疑念が生まれ、チーム全体のエネルギーが低下していきます。

一方、自分軸が確立されたリーダーの下では、メンバーは安心して自分の能力を発揮できます。
方向性が明確で一貫しているため、迷いが少なく、スピード感を持って行動できるのです。

今こそ、真の「自分軸」を築く時

変化の激しい現代において、マニュアル通りの対応では限界があります。
予期せぬ状況で的確な判断を下せるリーダーこそが、組織を成功に導けるのです。

自分軸は一朝一夕では身につきません。
しかし、だからこそ価値があります。
一度確立すれば、それは誰にも真似できない、あなただけの強力な武器になるからです。

もし、今回挙げた4つの落とし穴に一つでも心当たりがあるなら、それは成長のチャンスかもしれません。
「自分軸を築きたい」と思った時が、真のリーダーへの第一歩なのです。


もう『誰かの真似』は終わり
あなたの強みが、最高のリーダーシップになる

3か月後の自分に投資する!

『組織を強くする実践知』
 最新記事をメールでお知らせ!

 ✔ 無料 
 ✔ いつでも解除OK
  こちらから登録してください!
  リーダー育成・組織開発の最前線から、あなたのビジネスを加速させる実践知を毎日お届けします。 

タイトルとURLをコピーしました