誰だって変わることができる

コビトを育てる

先日読んだ書籍に面白いフレーズが出てきました。
「コビトを育てる」というものです。
コビトとはメタ認知のこと。
習慣の改善にはメタ認知の強化が大切で、メタ認知(コビト)が習慣改善のトレーナーになるというのです。
実に面白いですよね。
自分の中のコビトが自分のトレーナーになる。
だから、より良いトレーナーを味方につけるためには、自分の中のコビトをしっかりと育てよう!というのです。

コビトを育てる方法は大きく2つ。
① 振り返りの習慣をつける(日記が有効)
② もう一つは知性を向上させる(知識を磨く、自分に問いかけるスキルを磨く)

「振り返りならいつもやっているけど」という方も多いでしょう。
どのようなやり方で振り返っていますか?
電車に乗っている時でもお風呂に入っている時でも、いつも頭の中でしっかりと振り返っているという方。
1日の終わりや折り目折り目に振り返りノートをつけて振り返っているという方。
様々なやり方がありますが、コビト強化に効果的なのは「見える化」すること。そして、それら「見える化の束」を更に何度も何度も見て一層振り返り、自分の癖、傾向を発見し、そこに対してしっかりと対策を打つことです。
見える化することで分かっているようで本当は見えていない自分の傾向が驚く見えてくるからです。
頭の中で振り返ることも大切ですが、時間とともにその記憶は薄れてしまうため、やはり見える化をして束を作った方が効果的なのです。

更に大切なポイントが。
「できた」「できなかった」「10点満点で7点だった」
これらも振り返りではありますが、これはただ事実をチェックしただけ。
そこから更に一歩踏み込んで、「気づいたこと、感じたことを言葉によって見える化」することで、よりコビト強化につながりやすくなります。

「お客様に上手く説明できなかったのは、前回のミスが尾を引いて勝手にビクビクしてしまっていた」
「新規訪問5件の目標で4件しか回れなかったけど、先月は目標達成できていたから自分に甘えてしまった」
など、事実のチェックだけでなく、その原因となる背景をもしっかりと内省することが大切なのです。
背景が明確になるのはコビトが活躍しているからに他なりません。
いくら事実(結果)が明確になっても、改善のために手を打つにはその原因が分からなければなりません。
ですから、コビトを育てるということは、改善行動にはとても大切だということなのです。

かつて私が嫌いで仕方なかった「営業レポート」で求められたのは「事実(結果)」のみでした。
「面談者 A課長 商談時間30分。〇〇を提案。感触良好。結果は2-3日でわかる」
ただ報告のためだけのレポート。
事実を書いてはいますが、振り返りと呼べるものではありません。
自分にとってのメリットは何も感じられず、管理したい上司のためだけに書かなければいけないことが苦痛で仕方ありませんでした。
そもそもの営業レポートの目的が何なのかにもよりますが、このようなものなら時間の無駄だと私は思います。

もしこのレポートが事実チェックだけではなく、コビト強化につながるものだったとしたらどうでしょう。
「A課長と面談。B部長の同席もお願いしていたが「マストじゃないんでしょう」とA課に言われて叶わず。アポの際「ダメもとで」という弱気な気持ちがあった。」
「〇〇提案をプレゼン。感触は良かったが、不安が残る。準備不足で説明があいまいになったところがあった。気心がしれたA課長担当ということで、甘えていた自分がいた。」

書いている本人はコビト(自分の中の自分トレーナー)を育てることができますし、本当に必要な手の打ちどころが明確になってきます。
サポートする側(マネージャー等)も、その人に必要な対策がはっきりとします。
例えば、同じ準備不足という事実であっても、Aさんは相手に甘えていた、Bさんは他の案件と重なって時間が全く取れなかった、Cさんはこの仕事に乗り気ではなかったなど、その背景は全く異なるからです。

コビトを育てるために、「見える化の束づくり」は有効です。
かく言う私も、かつては頭の中での振り返りしか行っていませんでしたが、「振り返りノート」をつけるようになってから、見えていない自分、見たくなかった自分が明確になってきて、それまで悲惨だったメタ認知力も少しはアップしてきているように思います。

悪しき習慣の改善に、良き習慣の継続に、自分がなりたい自分になるために
あなたも自分の中のコビトを育ててみませんか。

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