「ミーティングしててもみんな話さないから、結局は俺が喋って俺が決めてるんだよね。もっと意見言ってほしいんだけど。」
そう呟く部長さんに、私はたった一言
「部長が黙ってればいいんですよ。」
と言いました。
「だって、みんな何にも言わないから場が持たない。仕方ないんだよ。」
と反論の部長。
「それでも黙ってるんですよ。場が持たなくてもいいじゃないですか。根競べして、そしたら部長以外の誰かが話し始めるかもしれないですよ。何も言わなかったら部長が話し始めるとみんな思っているのかもしれないし。とにかく、みんなの意見を聞きたいんだったら部長は黙っていることです。」
「そうかなぁ」と呟きながらも部長さんが素晴らしいのは、「俺、純粋なんだよね」とご自身が笑いながらおっしゃるそのままに、私が言うことをまずはやってみるという姿勢を見せてくださるところです。
「いやさぁ、尾藤さんが言うからさぁ、黙ってたんだよ。そしたら三人(課長さんたち)で勝手にいろいろ話し始めてね、良い意見とか出てきて。あんなの初めてだったんだよね。俺の顔色とか見るんじゃなくって、俺もずっと聞いてて、時々はコメントしたりしたんだけど。
でさ、気がついたことがあるんだよ。
自分で話している時は自分目線でしかなかったんだけど、黙ってると自然にみんなが話している表情とか見るじゃない。そしたら、『こいつ、しんどそうだな』とか『こいつ、こういう話すときは表情がイキイキしてるな』とか見えてきたんだよ。
黙ってると最初はすごいストレスだったんだけど、黙ってるから分かることもたくさんあって。あれ、いいね。
来週またミーティングやるんだけど、もうちょっと黙ってるの、続けてみるよ。」
嬉しそうに報告をしてくださった部長さん。
メンバーの変化とご自身の気づきを分かりやすくお話しくださったのですが、やはり私が一番に「スゴイ!」と思ったことは、部長という立場になっても素直に他人のアドバイスに耳を傾け、
① まずはやってみる
② 自分なりに工夫してみる
③ 自分のやり方にアレンジしてみる
と、トライアンドエラーを繰り返しながら実践を続けているところであり、そのベースには『素直さ』があるということです。
いくつになっても人は成長することができます。
その必要条件は「素直さ」と「謙虚さ」です。
たった数日で驚きの変化を見せてくれた部長さんの話を聴きながら、私自身の素直さ・謙虚さは成長のために十分であろうかと、慌てて我が身を振り返ったのでした。