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「担当者」を無視する勿れ!

ひょんなことから近所の公園にあるドッグランのワンママ&パパ達の有志からなる「ドッグランをもっと快適に」する集まりの代表になった私。
代表というのは聞こえが良いですが、要は何でも屋さんです。
事の始まりは、一人の方が「区役所と交渉してもっと良くしたいよね」と言ったことに端を発するのですが、話が回りまわって私のところにやってきた時には、「予算取りも終わっていて、みんなの取りまとめ役をやってくれれば」となっていました。
蓋を開けてみてビックリ!
予算取りどころか、区役所にはグループの存在すら全く認知されておらず、全く一からの、いえゼロからのスタートなのです。
しかしお世話役を引き受けたからにはお膳立てができていなかったから辞めるというわけにもいかず、それならそれで土を耕して道を作ろうじゃないのと思ったのです。

ちゃんとお引き受けします!
そう答えた途端、色々な方が私のところにやってきました。

区議の〇〇さんを動かすといいから。
〇〇党を巻き込んだ方がいいよ。
〇〇さんが区長と知り合いだから、区長に直訴するのがいいよ。

皆さん、快適なドッグランを願ってのお話なのは百も承知ですが、私はそれらのいずれも丁寧にお断りしました。
そして何をしたかと言うと、区役所の担当部署のご担当者に直接アプローチしたのです。

「有志でグループを作りました。いろいろとお願いしたこともあるのですが、自分たちでできることもあるのでそういった活動も活性化させていきたいと思っています。犬が嫌いな方も公園にはいらっしゃるでしょうから、そういう方達のご迷惑にもならないよう、しかし、人とペットが互いに快適に暮らせるような区であればと、そんなことを願って、みんなで活動をしたいと思っているのですが、ご挨拶と、私たちのボランティア活動プランへのご助言と、それから私たちの要望に耳を傾けていただくための時間を頂きたいのですが・・・」

最初は明らかに予防線を張っていた区のご担当者でしたが、みるみる態度が変わってくるのが分かりました。

「ドッグランについてはこれまでも色々な方からご連絡をたくさんいただいているのですが・・・。皆さん、『〇〇してほしい』か『〇〇をやめてほしい』かで、自分たちの要望を言うばかりでそれ以外は全くありませんでした。区議から『〇〇やっといて』と頭ごなしに言われて、ムッとしながら仕方なく動いたこともあります。
私たちも人間ですから、公務員と言えども感情がちゃんとありますから、喜んでやることもあれば、イヤイヤな事もある。
区民の皆さんのためにと思っていますが、自分たちの利益だけじゃなくて、区全体の事も考えて色々な要望や自助努力についてお話頂ける方からのリクエストだと、一層お手伝いしたいと力が入ります。
今回はまさにそのケースです。
区職員だけではどうにもならないこともありますが、私たちでできるサポートは精一杯させていただきます。
早速ですが、このプランですが・・・」

皆さんの好意をお断りして、区のご担当者にダイレクトにアプローチして良かったと心から思いました。
日常のビジネスでも同じです。
若い頃、担当者として一生懸命やっている時に、上から突然に正反対の指示が来たときは不愉快に感じたものでした。
私たち担当者とも付き合いがありながら、その件を日ごろ話もしながら、何かの時には私たちをを飛び越えて最終決定権者やその上の上層部にリクエストをダイレクトに伝えるお客様や関係各所の方には好感を持てませんでした。

誰だってそれぞれの持ち場で、それぞれの責任の範疇で一生懸命に役割を果たそうと思っているのです。
にもかかわらず、それらの人たちを無視して、その方が早いからとポジションパワーを持った人を動かして自らの思いを遂げようとするのは、一生懸命に頑張っている現場レベルの方達を無視しているのと同じことです。

そもそも、本当に優秀な経営者の方であれば、そんなことに惑わされることはないと思います。
現場を大切にしてほしい。
自分ではなくスタッフに直接伝えてほしい。
現場のことは現場スタッフが一番よく知っているのだから。
そうおっしゃるに違いありません。
自分のスタッフを信用せずにこちらに直接リクエストを伝えてくる人に対して、好感を抱くはずはありません。
何故ならデキる経営者なら、何よりも自らのスタッフを大切に思っているし信用しているからです。

区役所のご担当者に、私なりの「人とペットが楽しく幸せに共存できる街」についてあれこれ話しながら、この話が現実になると良いのにとどんどんと希望が膨らんできました。
それは、その方と時間を共有することで生まれ出てきたわけで、区議や区長にただ要望を伝えただけでは決してそんな思いにはならなかったことでしょう。

結局、良い仕事ってこうやって生まれていくんだよな。

私の話を一生懸命聞いてくださる区のご担当者に感謝しながら、これから忙しくなっていくであろう私のボランティア活動について思いを巡らせたのでした。

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