「今年の新人はイマイチなんだよね」
「この頃の若手メンバーはピリッとしないんだよね」
「マネージャーになりたがらないヤツが多くってさぁ」
こんなお声をよく伺います。
何も今に始まったことではなく、もうずっと昔からあちらこちらで言われてきていることですね。
じゃあ、イケてる新人はどこへ行ってしまったのでしょう?
そもそもイケてる新人の絶対数が世の中全体で減ってしまったのでしょうか?
ピッシッとした若手はどこへ行ったのでしょうか?
マネージャーになりたいと自ら手を上げる人は?
そういう人たちは、よそにはいるけどあなたのところにだけいないのでしょうか?
それとも世の中の絶対数が減ってしまったのでしょうか?
大好きなアーティストのコンサートに行った際、彼がこんな話をしていました。
「この頃は『いい女』が減ったな。けどこれは、女が悪いんじゃなくて、我々男がしっかりしていないからいけないんだ。『いい男』が減ったから『いい女』も減ったんだ。だから我々男はもっとしっかりしなきゃいけないんだぞ! いいな? 男子!」
会場からは男女ともに笑いが漏れていましたが、要はニワトリと卵の関係と同じで、どちらか一方だけと言うことではなく、お互い様だということです。
じゃあ、職場ではどうなのか・・・
イケてる新人がいないのは、イケてる上司や先輩がいないから。
ピシッとした若手がいないのは、ピシッとした上司や先輩がいないから。
マネージャーになりたいと手を上げる人が少ないのは、こんな風になりたいと思える輝くマネージャーがいないから。
つまりはボヤいているあなたにも責任の一端はあるということに他ありません。
かつてある企業様から「中堅層がマネージャーになりたがらなくって、本当に困っているんだけど」とご相談をいただいたことがありました。
大手有名企業様で、マネージャー職ならばそれなりの高収入のはず。
けれども希望者がとても少ない・・・
そこで既任のマネージャーさん達にインタビュー&アンケートを行ったところ、その大半が「マネージャー職にやりがいや魅力を感じない」と答えたのです。
これでは中堅層が手を上げるわけがありません。
ご相談くださった人事ご担当者様は大変驚かれていましたが、どこにでもよくある話です。
「自分たちは今更もう無理だけど、君たち若手はこれからだから頑張ってよ!」
50代半ば過ぎの方々からはこんなお声もよく聞こえてきますが、若手からしてみると
「随分勝手な言い分だなぁ。定年65歳とか、70歳まで現役とか言っている時代に、50代半ばで匙投げてんの?自分たちがやりたくないだけの体のいい言い訳じゃない!」
と心の中では感じていることでしょう。
つまり!
新人がイケていないもの、ピシッとした若手がいないもの、マネージャーになりたい人が少ないのも、その対象の彼らだけの問題ではなく、その組織全体の問題だということです。
活性化した組織であれば、一人暗く沈んだまま居続けるのは難しく、そういう人も徐々に元気になっていくでしょう。
暗く沈滞した組織であれば、どんなに元気な人であっても、よほどの事でない限りはやがて共に沈んでいくか、そこを離れていくかのどちらかでしょう。
まさに「朱に交われば赤くなる」なのです。
周囲を元気に前向きにしたいのであれば、その対象となる人たちだけに目を向けて発破をかけるのではなく、その人たちの周囲をも含めた影響下にある全体に気を配ることが必要なのですね。
ところで「『いい女』が減った」の My favorite aritstさんの発言に、心穏やかではない私です。
自分を「いい女」と思うほど自惚れてはいません。
そうではなく、思い当たる節があるから逆に、チクリと胸が痛んだのでした。
「いい女」の条件とはどんなものなのでしょうか?
人によってイメージが違うのでなかなか難しいですね。
書き出してみたのですが・・・・
あなたも書き出してみてください。
「イケてる新人」とは具体的にどんな新人でしょうか?
どんな発言をして、どんな行動をして、どんな考え方を持っていて、どんな影響を周囲に及ぼしているでしょうか?
「ピシッとした若者」とは?
「マネージャーになりたいと手を上げる人」はただ手を上げれば良いというわけではなく、どんな素養を身につけていてほしいですか?
イメージをできるだけ具体的にすることで、初めて対策も育成も行えるというものです。
「困ったものだ」と呟く前に、ニワトリと卵の法則を思い返し、自らとその周囲を振り返ってみると共に、相手に望む具体的イメージを書き出してみてください。
そこからきっと、何かが見えてくるに違いありません。