組織開発

メンバーのやる気を引き出すのは数字目標ではない

「あなたのチームはどんなチームを目指していますか?
数字目標以外で、どんな状態、どんな存在目的、
会社にとって、メンバーにとって、
できるだけ具体的に教えてください。」

こう問いを投げかけると、チームリーダーやマネージャーであっても
すぐに具体的答えがすぐに返ってこないことが多々あります。

会社の理念もクレドも、
いろいろなことは情報として理解しているはずなのに、
いざ、自分のチームの存在目的、
どんなチームを目指しているのかと問われると答えることができない。
マネージャーがそうであれば、
メンバーもチームがどこを目指しているのか知る由もありません。

「どうして数字目標だけではダメなんですか?」
時折、こんな質問を頂きます。

数字目標だけでダメとは言いません。
その数字目標が意味するところ、つまり、
その数字目標は何を達成するためのものなのかを
ちゃんと理解していれば問題ありません。
そして、その目的が自分たちにとって魅力的なものであれば更に良いでしょう。

3キロ痩せる。5キロ痩せる。
数字目標だけのダイエットはあまりうまくいきません。
しかし、その数字目標の先にある目的が自分にとって意味づけできており、
それが魅力的なものであればもっと頑張れるのです。

目標 5キロダイエット
⇒ マラソンをしているけど、膝に負担がかかっているので
体重を少し落とした方が良いと思っています。
⇒ 実は来年の東京マラソンでのサブ4を目指しています。
⇒ いっつも途中で投げ出してばかりの自分だったのですが、
今度こそ何かを成し遂げたいと思い、
マラソンでのサブ4を目標にしたんです。
⇒ これが達成出来たら、
「あきらめない自分」「逃げ出さない自分」を手に入れられる。
もっと自分に自信が持てるようになると思うんです。
⇒ 子供の頃から言い訳ばかりの自分が好きでなかった。
だから、自分で自分を好きになるために、
自分をもっと認められるようになりたいんです。
だからサブ4を目指している。
そのためには5キロ体重落とすことが今は必要なんです。

こんな感じです。

仕事の意味づけだと、
JR東日本の新幹線車両をお掃除しているテッセイが好事例です。
パートやアルバイトの集まりで、決してモチベーションが高くはない人たちに、
「私たちはただの掃除屋ではない。
世界に誇る新幹線を清掃によってメンテナンスしているプロフェッショナルである」
と意味づけ、仕事に誇りを持つことで彼らのやる気を引き出し、
彼ら自身が世界に誇るプロフェッショナルに成長した例です。
そこにあるのは7分間で一人100座席を清掃しなければならない、
という数字目標ではありません。
頻繁に利用するビジネス客にも乗車中はくつろいでもらえるよう気持ちを込め、
日本を訪れた外国人観光客に日本を好きになってもらうためのお手伝いをし、
家族旅行の親子連れには楽しく心に残る旅の思い出作りのお手伝いをと、
様々な新幹線利用客へのおもてなしの心が清掃を通じて届けられている、
まさにプロフェッショナルの仕事なのです。

数字目標だけでここまでのことはできないでしょう。
それはまさに、自分たちの仕事の意義、
自分たちの存在目的が魅力的であってこその成せる業なのだと思います。

「あなたのチームはどんなチームを目指していますか?
数字目標以外で、どんな状態、どんな存在目的、
会社にとって、メンバーにとって、できるだけ具体的に教えてください。」

まだない。という場合には、メンバーと一緒に考えるのも良いでしょう。
自分たちは何のために今、この仕事を頑張っているのか。
どんな価値、意味、意義があるのか。
そのことを全員がしっかりと理解し、心にいつも持ち、
前へ進んでいるチームほど強いものはないでしょう。

数字目標以外の、あなたのチームの存在目的。
教えていただけませんか?

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