マネジメント・リーダーシップ組織開発誰だって変わることができる

日常が大切

A社のSマネージャーから新たなプログラム導入に対するご相談を頂きました。会って説明を聞く時間がどうしても取れないので、メールで簡単な概要を送ってほしいとのご依頼でした。

「お問い合わせ」レベルであることは百も承知ですが、ご提案書に仕上げ、直接ご説明できない分、解説をできるだけ丁寧にお付けしてメール添付と共に、オリジナルを郵送でお届けしました。

数日が経ってもSマネージャーからはメールも電話もご連絡がなかったので、「ちゃんとお手元に届いているかしら?」と心配になり、お伺いメールを送りましたが返信はやはりありませんでした。ダイヤルインに電話をしましたが応答メッセージだったため、「もしお手元に届いていなかったらと思いご連絡しました。」と簡単にメッセージを残しました。

最初にご依頼があった時から2週間以上経ってもご連絡はないままなので、「あ~、またか・・・」と思い、Sマネージャーからのお問い合わせについては忘れることにしました。

 

実は、A社さんはSマネージャーのみならず、MマネージャーもKマネージャーも皆押並べてレスポンスがよろしくないのです。皆さんが必要な時にはとてもテンポよくご連絡を頂けるのですが、そうでない時には全くのなしのつぶて。「必要な時にはこちらから連絡しますので。」と言われたことさえあります。

これがA社の体質なんだわ。そんな風にさえ感じていました。

ところが同じA社にあって、T部長もY部長も、つまり部長クラスになると実に腰が低く丁寧で、メールや電話でのレスポンスもこちらが恐縮してしまうほど丁寧で早いのです。

この違いは一体何なんだろう・・・

ある時、意を決して人事部のT部長に正直にお伝えしてみました。

「部長さんクラスに比べて、マネージャークラスはもしかしたら少し勘違いがあるのではないかとお見受けします。A社さんはたくさんの下請け、孫請けもお使いになってのお仕事。その方達に対する『感謝』はあるのでしょうか・・・。マネージャーさん達からは上司、メンバー、関係先などに対する愚痴や文句は多く聞かれても、相手に対する感謝の気持ちを読み取れるようなお話は一向に聞こえてきません。もしかしたら、私だってA社製品を購入するかもしれません。A社さんの顧客の一人になる可能性だってあるのです。だから丁寧に接しろという話ではありませんよ。相手に対してどんな気持ちでいるかが日々のちょっとした行動に出ているのではないでしょうか。たかがメールや電話のレスポンス。相手は使うかどうかもわからない研修会社。それでも、こんな素晴らしい人たちがA社にはいるんだね!だからA社はすごいんだね!と言われるようなそんな風な日常の些細な事から見直す必要があるように感じました。あくまでも目指すのは、『A社の社員はさすがだね!』ではなく『素晴らしい社員が沢山いるA社はさすがだね!』と、社員あってのA社評を目指すことだと思います。」

すると、T部長は全くその通りだと仰り、何をどうしたものかと思案していたということだったので、あるエピソードをご紹介しました。

高校野球甲子園大会に出場する選手たちを宿舎から甲子園球場まで永年に渡って送迎しているバスのドライバーさんのお話です。

 

「ベスト8に残るような学校と、1回戦ですぐに負けてしまう学校との違いは、試合が始まる前から選手たちを送迎していると自然にわかるんです。すぐに負けてしまう学校は、降りた後には座席は倒したまま、忘れ物はする、ゴミは残していくなどの有様です。私たちドライバーが存在していることに気づきさえしない様子です。しかし、ベスト8に残る、優勝を争うような学校は全く違います。乗る時から「おはようございます」と帽子を取って私たちに挨拶し、降りる時も「ありがとうございました」「行ってきます」と一人ひとりが私たちの顔を見ながら元気に挨拶してくれます。もちろん、降りた後の座席はシートは元の位置に戻り、忘れ物どころかゴミなどありません。こういう「ちゃんとした当たり前のこと」ができる学校は、試合でも勝ち残っていくんです。」

 

A社さんには大変失礼ながら、マネージャーさん達は前者の生徒たちのようにお見受けします。次代を担っていくマネージャー達がこれではあまりにも悲しい。「日常の当たり前」を見直してみませんか?

私からのご提案はT部長の心にとても響いたようで、日常の見直しをどのように進めていくかの話に発展していきました。

 

挨拶。声掛け。掃除や整理整頓。本当に小さなことからで構わないのです。

日常の小さな事が結局は全てに繋がる。日常がとても大切。

球児たちに負けないよう、私たち大人も日常のあり方を常に正していかなければと思うのでした。

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