今月に入って、いつも宅配で荷物を届けてくれるS社のドライバーさんが変わりました。
いつも通りドアを開けて荷物を受け取った時、「あ!新しい人だと!」と私が気づくか気づかないかのうちに、ドライバーさんの方から「よろしくお願いします!」の挨拶を頂きました。
さらに、荷物を受け取ってドアを閉めようとした時、「ありがとうございました。またよろしくお願い致します!」と、ドライバーさんが深々と笑顔でお辞儀をしました。
私は慌ててドアを開け、「こちらこそ、よろしくお願いします。」と言いました。
こんな風に丁寧にあいさつをしてくれた宅配の方は初めてだったので、驚くと同時にとても新鮮でした。
ところが、そのドライバーさんは次の時も、また次の時も、毎回丁寧にお辞儀をするのです。
「ありがとうございました!またよろしくお願いいたします!」
お決まりのフレーズではありますが、元気よく、笑顔で、その言葉には「心」が感じられるのです。回を重ねるごとにこちらも自然と声をかけるようになり、「もう慣れましたか?」「雨が上がって良かったですよね」「今日も暑いよね。冷たいお茶、どうぞ。」などとやり取りするようになりました。
「S社さん、いい人採用したな~。」 そんな風に思っていました。
ある日、たまたま宅配会社さんの配達が、S社とN社が重なった時がありました。
最初にS社。いつもの通り、元気に挨拶して帰っていきました。
N社さんが来た時、S社のドライバーさんとのやり取りを見ていたN社のドライバーさんがポツリと言いました。
「S社さん、元気いいですね・・・」
私の目からはN社のドライバーさんはとても疲れて見えました。
「そうですね。とても楽しそうにお仕事されているみたい。いつもお荷物と一緒に元気と笑顔も届けてくれるので、私もありがたいんですよ。N社さんも頑張って!」
すると、N社のドライバーさんが驚いた顔で言いました。
「元気と笑顔? そんなこと、考えたこともなかった・・・。たくさんの荷物を届けるのに精一杯で・・・。」
少し気の毒になって、お節介とは思いながらも、以前見たことのあるY社のイメージビデオ「Y社は我なり」の感動DVDのお話をしました。
何のために仕事をしているのか、何のために荷物を届けているのか、その視点をちょっと変えただけで、毎日が楽しく充実したものになるかも、と。
私はプライベートでも仕事でも、宅配会社さんにお世話になることがとても多く、特に仕事においては、荷物が届かなかったら業務に支障が出ることも沢山ある。私の想いを発信している月2回のMagazineの発送にも欠かせない。だから、私の仕事を支えてくれている大切なパートナーだと思っている。
そんなお話もしたりして・・・。
N社さん、よほど色々な事が溜まっていたのか涙ぐみ、ただ何度も頷いて帰っていきました。
暫くして、N社さんからの配達がありました。
インターホン越しに確認すると、この前のドライバーさん。応答するとこんな声が聞こえてきました。
「N社ですが〇〇様からお荷物と元気のお届けです!」
良かった。N社のドライバーさんも元気になって。
楽で楽しいばかりの仕事はないでしょう。キツイことや大変なこともたくさんあると思います。それでもこの仕事は「なんのために」やっているのか、目に見える価値にプラス、目に見えないどんな価値をこの仕事に乗せて相手に届けるのか、そんなことを考えて取り組むだけで、気持ちが前へ向くように思います。
企業様の研修現場やワークショップだけではない、日常のちょっとした場面でも、私が何かお役に立てることがあった、そんな嬉しいエピソードです。
関わる方達みんなに愛を届けたい。
そんな思いの私の言葉ににしっかりと耳を傾けてくれたN社ドライバーさんにも感謝です。