マネジメント・リーダーシップ

育成のカギは、行動管理からの脱却にあり

私たちは「結果」が欲しいので、結果に繋がる「行動=何をしたか」に意識を向けがちです。
何をした?どうやった?いつやった?
「結果を出すためにはマネージャーは徹底的に部下の行動を管理する!」と言い切るハウツー本もあるくらいです。

しかし私は、その考え方には異論を唱えたいと思っています。

ミスをしてしまいお客様からお叱りを頂き、慌てて飛んで行きお詫びをしたAさんとBさん。
Aさんはお客様の気持ちを真摯に受け止め、今後のサービスと信頼関係の構築に努めようと、そのためにはまず、お客様の顔を見て話を聴くことが大切だと考え急いで飛んで行った。
Bさんは、お客様の怒りを鎮めるには集中砲火を浴びるのもやむなしと考え、馬耳東風の心持ちでお客様のもとへ急いだ。

「急いで飛んでいき丁寧にお詫び」と行動は同じでも、「何を考えてそうしたか」は、AさんとBさんでは全く違います。
表面上の行動は同じでも、二人の心のうちは違いますし、おそらくそこから滲み出る雰囲気は違うはず。
Aさんはお叱りを頂いても、逆にお客様からの信頼を得て、その後、大きなお取引に繋がる可能性がある一方、Bさんは誠意がないと取られて取引中止になってしまうかもしれません。

大切なのは「何をしたか」以上に、「どう考えて行動したか」です。
つまりマネージャーは、メンバーが「何をしたか」以上に、「何を考えて」「どう考えて」行動したか、または行動しなかったかを知る必要があるのです。

考え方に間違いなければ、その時は結果が伴わなくても、正しい考え方に基づいて行動し続ければ、結果は自ずとついてくるでしょう。
また、その考え方を応用しての行動も期待できます。

ベースの考え方が間違っていれば、その時は結果が出たとしても、それは単なる結果オーライであって、その後も引き続き結果を出し続けることができるかどうかは疑問です。
いえ、かえって間違った方へ進んでしまうかもしれません。

ラグビー日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏の『コーチングとは信じること』に次のような一文があります。

コーチは選手が取った行動そのものよりも、『なぜそう決断をしたのか』を知り、そこをマネジメントしなくてはならない。

私たちは結果が欲しい。
だから意識が行動にフォーカスされてしまいます。

しかし、マネージャーは短期的な「結果」に一喜一憂するのをやめ、メンバーが「何を考えて」行動したのかを意識して知ろうとすることこそが、育成の第一歩だと考えます。

メンバーの思考プロセスに光を当てる関わりこそ、彼らの「内省」を促し、間違った成功体験ではなく、再現性のある成功法則を確立させるカギとなります。
これは、マネジメントにおける最も重要なコーチング的アプローチと言えます。

優れたリーダーの組織ほど、「行動の裏にある意図」を問い、育む文化が根付いています。

「何を考えて行動したのか」
メンバーの成長を促し、チームで結果を出したいと思うのであれば、リーダーは、目先の行動管理に注力するのではなく、自らの問いの質を上げ、問いにより、メンバーの思考と行動の質を上げる関わり方に注力することが大切です。

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