組織開発

心理的安全性を築く時の注意点

会議やミーティングで積極的発言がない。
言われたことは真面目に取り組むけど自らのチャレンジが見られない。
報連相ができていない。
プライベートではとても元気だが、仕事中は喜怒哀楽が見られない。
質問しても答えが返ってこない。
何を考えているかがわからない。
自分の前では委縮している。   etc.

これらの現象が見られる時は、9割以上の確率であなたと相手との間の心理的安全性が「かなり低い」または「ない」と言って間違いありません。心理的安全性と言われると受け入れ難くとも、「自分と相手の心の距離は離れているなぁ」と感じるならば、心の距離と安全性は比例しており、心の距離が近ければ近いほど安全性は担保されており、離れていれば安全性は低いと言えるのです。

自分とメンバーの心理的安全性は低い。メンバーは自分の前で委縮している。
そう自覚したマネージャ―は、心理的安全性について一生懸命に学び、書籍に書いてあることや学んだことをやってみます。しかし残念ながら、メンバーとの距離は一向に縮まる気配がありません。それどころか、悪くなっている感さえありました。
このように、「本を読んでやってみたけどうまくいかない」「研修で習った通りにやったけど、うちのメンバーには効果なし」という場合の多くは、アクセルを踏みながら同時にブレーキを踏んでいると考えられます。つまり、心理的距離を縮めるための取組みをしながら、同時に、心理的距離を広げる行動も無自覚にしているのです。

問題は、この「無自覚」です。自覚があれば改善も可能ですが、自分が相手にネガティブな印象を与える行為をしている自覚がないのですから直しようがありません。
ではどうすれば良いか。「この本は役に立たない」と諦めてしまうのではなく、「自分が行っている事」「自分の価値観」を全て書き出してリストアップしてみましょう。それら書き出したものをじっくりと見つめ、「相反する行為」がないかを確認してみてください。

例えば、「メンバーと1on1の時間を毎週取る」と「MTGで改善点を明確に伝える」は、実は相反するものかもしれません。1on1はあくまでも、メンバーが自由に気持ちや考えを話し、上司は聴き役に回って応援する場であるはずなのに、もしそこにMTGの概念を持ち込んで改善点指摘を行ったなら、メンバーは途端に口を閉ざしてしまうでしょう。

「メンバーの当たり前の行動に感謝する」としながら、「こんな当たり前のこともどうしてできないんだ」と日頃言っていたら、いくら感謝の言葉を口にしていても、それらは薄っぺらい表面的なものにしか聞こえず、メンバーに感謝の気持ちはおそらく全く伝わらないでしょう。

上手くいかない理由は、アクセルを踏みながら同時にブレーキを踏んでいるからです。自分がブレーキを踏んでいると気づいたなら、ブレーキを踏むのを止めましょう。
「止める行動」と「取り入れる行動」を適切に行い、心理的距離が近づかなかった関係やチームは、私が知る限り一つもありません。
心理的安全性を担保したいと思った時、たくさん世の中に溢れている「こうしたら良い」情報を一生懸命やってみたくなります。しかしその前に、「これは逆効果」「これをやったら致命的」を止めてみる。無意識に一生懸命踏み込んでいたブレーキを外してみる。それだけで、グッと距離が近くなっていくものです。

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