戦略人事組織開発

会議が変わればチームが変わる|カリスマ社長の悩みと現場のリアル【第1話】

あるサービス業の企業支援に入ったときのことです。
そこは、カリスマオーナー社長がゼロから立ち上げ、
苦労に苦労を重ねて、ついには上場まで果たした会社でした。

社長は、誰もが認める敏腕経営者。
でも、その人柄はとても温厚で、
穏やかな笑顔で社員に接する姿が印象的でした。

そんな社長からの依頼は、
「社員にもっと元気になってほしい。
 私に頼るんじゃなく、社員自身で会社を引っ張っていけるようにしたい。
 次の世代を育てたい。」
というものでした。

社長の話を聞いたあと、
私は経営会議をオブザーブさせてもらうことにしました。

参加メンバーは、社長、副社長、各部門の部門長、
そして会議ごとに担当マネージャーが入れ替わるスタイルです。

でも、その会議を目の当たりにして、私は違和感を覚えました。

担当マネージャーが発表を終えると、
副社長からの批評(というより、長時間の指摘)が延々と続きます。
発表したマネージャーも、他の部門長たちも、
うつむいたまま、ただただ耐えるだけでした。

会議が終わる頃には、
その場には重たい空気しか残っていませんでした。

これ……本当に「会議」って呼んでいいのかな?

そう思った私は、各部門長に個別にヒアリングすることにしました。

すると、全員が口を揃えて言いました。
「毎回あんな感じなんです。副社長からの批判を避けるために、
 何日もかけて必死で準備するけど、
 結局、ボコボコにされるだけ。
 本当は、もう、しんどくて仕方がないんです。」

私は、そっと社長に尋ねてみました。
この現状をどう思っているのかと。

けれど、社長は穏やかに笑いながら、おっしゃるのです。
「副社長に任せているから。」

──あぁ、ここに根っこがあるんだな。

そう確信した私は、今度は副社長に話を聞きました。

副社長は、ぽつりと呟きました。
「社長が何も言わないから、俺が憎まれ役を買ってるんです。
 次を育てなきゃって思うと、つい、厳しくなってしまう。」

二人とも、間違ってはいません。
ただ、やり方が、
未来を育てるどころか、
現場をどんどん消耗させてしまっていました。

そこで私は、社長と副社長に、
たったひとつだけ、でも、とても難しいお願いをしました。

「会議の場では、否定的な発言を封印してください。」

次世代を育てたいなら、
まずは”場”を育てなければいけません。
そう、心を込めて伝えました。

──続きは、また明日。

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