「それはちゃんとやってる」「それは分かってる」
周囲に、そう自信を持って語る優秀なメンバーはいませんか?
あるいは、もしかしたら、あなた自身がそうかもしれません。
先日、こんな話を聞きました。
「Aさんは何を聞いても『それはちゃんとやってる』と全部跳ね返すから、話すのが嫌になる。」
というのです。
Aさんは、チームの年長者で、仕事もできると評判のメンバーでした。
その話を聞いた時、私は心の中で苦笑いしてしまいました。
なぜなら、、過去の私自身に驚くほど重なったからです。
人は「できている」「知っている」「やっている」と思った瞬間に、成長の歩みを止めてしまうことがあります。
なぜなら、「できている」「やっている」と信じていることが、必ずしも「正しく」できているとは限らない、ということです。
たとえ、「正しくできている」としても、「もっとうまくできるように」「もっと深く知るために」
などの向上心は成長を後押ししますが、
「できている」など、自分にOKを出して満足してしまうと、更なる高みを目指す意識が蓋をされてしまいます。
この「勘違い」は誰にでも起こり得ます。
「できていると信じたい」「自分はわかっている」という強い願いが、いつの間にか現実を歪め、
「できている」「知っている」という確信にすり替わってしまうことがあるからです。
そんな時、もし誰かに「できていないよ」と指摘されようものなら反発してしまうでしょう。
自分ではOKだと思っているわけですから、受け入れられないのも無理はありません。
そうして周囲との溝を深め、自分で自分の成長を遅らせてしまうという悪循環に陥っていることにさえ気づきません。
かつての私自身がそうだったのです。
では、どうすればこのループから抜け出せるのでしょうか?
この「勘違い」を乗り越え、本当の意味での成長を掴むためには、
本人が自ら「気づく」瞬間が何より重要だと考えています。
プライドが高く、鼻っ柱の強い「勘違いさん」が自力でその扉を開くのは容易ではありません。
私自身、人一倍、いえ、人十倍も時間がかかりました。
しかし、周囲のサポートがあれば、その「気づき」の瞬間を早めることは可能です。
「強情だから、きっと気づかないよ…」と匙を投げてしまうのは、もったいないことです。
上司や同僚として彼らに関わるのであれば、
根気強く、様々な角度から「気づき」のきっかけを与え続けることが大切です。
頭ごなしに「No!」を突きつけるのではなく、
彼らが「あれ?」と立ち止まるような問いかけや、異なる視点を提供してみます。
まるで、硬く閉ざされた心を溶かすための「愛情のスパイス」を加えていくようなものです。
かつてのカッチンカッチンの私がそうだったように、
どんなに頑なに見える人も、必ず「どんなことでも吸収する質の良いスポンジ」に変わる時が来ます。
もしあなたの周りに、自己満足によって成長が止まっているように見える人がいたら、どうか諦めないでください。
そして、もしあなた自身が「自分は完璧だ」と感じているなら、
一度立ち止まり、本当に「正しく」できているかを問い直す勇気を持ってみてください。
その一歩が、新たな成長への扉を開く鍵となるはずです。
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