今年の箱根駅伝も青山学院大学が見事な走りを見せ、優勝で幕を閉じました。
原監督が指揮を執ったこの11年間で、実に8回もの優勝に導いたという事実は
まさに名将の名にふさわしい実績です。
その指導力は、ビジネスの現場でも多くのヒントを与えてくれます。
例えば、原監督が試合後に「縁の下の力持ち」として、
寮母さん(奥様)の貢献を讃えたエピソードがあります。
これは、勝利が選手10人だけの力ではなく、
「チーム」の総合力によって成し遂げられたことを示した
重要なメッセージです。
ビジネスの現場でも同様に、
バックオフィスやサポート業務に従事する人々の貢献に目を向け、
適切に評価することが大切です。
リーダーが日頃から「目立たないけれど不可欠な人々」に感謝を示すことで
組織全体の士気が大きく向上するでしょう。
しかし、ここで注意すべきなのは、
スポーツの名将たちの成功哲学をそのままビジネスに当てはめようとすると、
思わぬ落とし穴にはまることがあるということです。
その原因は、スポーツとビジネスにおける目的意識の違いにあります。
スポーツとビジネスの決定的な違い
スポーツの世界では、
「優勝する」「記録を破る」「勝ち抜く」
という明確な目標があります。
そして、選手たちの目的意識は非常に強く、
そのコミットメントもゆるぎないものです。
彼らの動機は、自分達が本当に目指したいゴールに向かっており、
そこに情熱や意義を感じています。
一方、ビジネスの現場では、
目的意識が曖昧なままで働いている人が少なくありません。
自分が行っている仕事の意味や価値を見出せず、
モヤモヤした状態で日々を過ごしている人も多いでしょう。
「何のためにコレをやっているのか」が明確でないと、
目標への情熱ややりがいや生まれにくくなります。
また、仮に目標が設定されたとしても、
「やりたいからやる」のではなく、
「仕方がないから」「義務だから」と考えている人も少なくありません。
これでは、内側から湧き出る動機が欠け、
主体的な行動や高い成果にはつながりにくいのです。
ビジネス現場に必要な「目的意識」の再構築
では、この違いを埋めるためにはどうすれば良いのでしょうか。
1.仕事の目的を明確に伝える
リーダーは、組織のビジョンやミッションをしっかりとメンバーに共有し、
「なぜその仕事が重要なのか」をわかりやすく説明することが大切です。
「そんなことわざわざ言わなくてもわかっているだろう」ではなく、
何度も何度も、丁寧に伝えることが必要です。
2.個人の価値観と結び付ける
一人ひとりが、自分自身の価値観や人生の目標と仕事の目的を関連付けられるよう、
コーチングや対話を通じてサポートすることが求められます。
メンバーとあなた(リーダー・上司)の価値観は同じではありません。
自分の当たり前をメンバーに押し付けることなく、
メンバーに合った関連付けをすることが必要です。
3.成功体験を共有し、達成感を促進する
小さな成功でも組織内で共有し、
仕事の成果が何をもたらしたのかを具体的に示すことで、
仕事への意義を感じやすくします。
大きな成功は突然現れるのでなく、それらはすべて
小さな成功の積み重ねの結果です。
小さな成功を認め、讃え合うことが、やがて大きな成功につながるのだと
リーダー自らがチームに示すことが大切です。
スポーツの名将たちから学ぶべきことは多いですが、
その成功哲学をビジネスに活かすためには、
スポ―ツとビジネスの本質的な違いを理解することが不可欠です。
特に、ビジネス現場では目的意識を育む仕組みを作ることが、
リーダーの重要な役割と言えるでしょう。
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