マネージャー失敗談マネジメント・リーダーシップ

「ダメだね」は禁句!部下の成長を促す叱り方

「そんなのだからダメなんだよ~」 「だから失敗しちゃうんだよ~」

大切なメンバーに対して、こんな注意の仕方をしていませんか?

残念ながら、これは完全にアウト!NGです。

かつての私も、全く悪気なしにこういう言い方をしていました。
でも、ある時、普段はとてもおとなしいK子ちゃんに「プッツン」されてしまい、自分の言葉遣いの浅はかさに気がついたのです。

なぜ「そんなのだからダメ」はNGなのか?

これらの表現に共通するのは、「今」と「過去」の両方を同時に「否定」していることです。

「そんなのだからダメなんだよ~」は、「今、そういう風だから、過去から現在まで何もかも上手くいかないんだ」という意味合いに取れます。
「だから失敗しちゃうんだよ~」は、「今の行動・考え方だと、過去に失敗したように今回も失敗する(した)んだ」という意味合いになってしまいます。

注意するマネージャーとしては、「いや、だって事実そうだもの。いつも失敗繰り返してるし。何回も同じようなこと注意しているし。」と感じるかもしれません。
実際にそうなのかもしれません。

それでも、です!

注意される側からしてみると、今だけじゃなく過去を蒸し返されているような気になったり、過去から今をずっと否定されているような気持ちになることがあります。
結果、モチベーションは地の底まで下がってしまいます。
いつまでたっても過去のことを蒸し返す、否定し続けるあなたへの信頼感も下がります。

人は、「事実を伝えること」と「相手の人格や過去を否定すること」を混同しがちです。
事実を伝える目的は、あくまで「改善」を促すことです。
しかし、過去の否定は、相手を萎縮させたり、反発させたりするだけで、建設的な改善には繋がりません。
どんな人にも「プライド」や「恥」の意識はあり、過去の失敗を公に蒸し返されることへ、抵抗感を抱くのはごく自然なことだと理解しておかなければなりません。

最悪なのは「ダブル否定」!

さらに悪いのは、今の行動だけでなく、全く別のことまで引き合いに出して「ダブル否定」をしてしまうことです。例えば、こんなケースです。

「机の周り、もう少しきれいに片付けないと、またこの前みたいに資料紛失しちゃうよ。そんな風にだらしないから彼女できないんだよ。

仕事上のことで注意されるのは仕方ないとしても、それを飛び越えてプライベートなことや、個人の価値観、さらには人格を否定されるようなことにまで及んだ時には、たまったものではありません。

かつて私がK子ちゃんにプッツンされた時には、まさにこれでした。

「一つ一つ、もっと丁寧にしないと、またお客様からお叱り受けるよ。そんないい加減だから、お義母さまからも嫌味言われるのよ。

注意の仕方が過去からの継続否定だということで十分にNGなのに、言わなくてもいい余計な事を言ったものですから、おとなしいK子ちゃんもさすがにたまりかねたのでしょう。

「びとうさんにそんなことを言われる筋合いはありません!プライベートなことにまで干渉しないでください!!!」

物凄い剣幕で言い返されてしまいました。
いやもうこれは、完全に私が悪い。
そしてこの時以来、私自身が普段何気なく言っている注意の仕方が、恐ろしくメンバーを傷つけているということを自覚したのでした。

「ダブル否定」がもたらす悪影響は計り知れません。

  • 信頼関係の破壊: 仕事とプライベートを混同し、関係のない領域まで踏み込むことで、マネージャーとメンバー間の信頼関係が著しく損なわれます。
  • モチベーションの著しい低下: 仕事への意欲だけでなく、人間性そのものを否定されたと感じさせ、自己肯定感を深く傷つけます。結果として、仕事へのエンゲージメントが低下し、最悪の場合、離職につながる可能性もあります。
  • 思考停止の誘発: 注意された内容について考えることを諦めさせ、「どうせ自分はダメだ」という無力感に陥らせます。
  • ハラスメントのリスク: パワーハラスメントやモラルハラスメントと受け取られる可能性があり、組織にとっても大きなリスクとなります。

メンバーを成長させる「叱り方」の3ステップ

では、どうすれば良いのでしょうか?
ただ否定する(しかも過去と現在のダブル否定は絶対にダメです)のではなく、メンバーが「考える」ことができるような注意の仕方、叱り方がメンバーを育てるのです。

「そんなのだからダメなんだよ~」ではなく、場面に応じて、こんな言い方があります。

  • まだ途中段階なら「そのやり方で大丈夫?」「そのやり方を選んだ理由は?
  • 失敗してしまった後なら「失敗の理由はなんだと思う?

これらを、メンバーを成長させる「叱り方」の型として整理してみました。

  1. 事実の確認と共感: まずは起こった事実を客観的に伝え、相手の状況や気持ちに寄り添う姿勢を見せましょう。
    例:「〇〇の件だけど、今どう感じている?」
  2. 行動に焦点を当てた問いかけ: 過去や人格ではなく、具体的な行動や選択に焦点を当てて質問し、メンバー自身に考えさせましょう。
    例:「このやり方を選んだ理由は何だったかな?」「どうすればもっと良くなると思う?」
  3. 未来志向のサポート: 改善策を共に考え、次につながる具体的なアクションを促しましょう。
    例:「同じ失敗を繰り返さないために、次は何をする?何をやめる?」「何かサポートできることはある?」

確かに、目の前で色々なことが起こっている時、それが緊急の場合だったり、「またなの~」と呆れてしまうような場合、マネージャーだって生身の人間ですから、ついつい余計な一言を発したり、嫌味の一つも言いたくなってしまうかもしれません。

そんな時は、「イラッ」とするのではなく、「人としての成長チャンス到来!」と、意識してポジティブにとらえてみてください。
そして、どういう言い方がメンバーの成長につながるかを考えるのです。

あなたの叱り方、注意の仕方はメンバーのやる気を奪っていませんか?
冷静になった時、たまには振り返ってみてくださいね。

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