空回りの経営会議、あるある? ある社長からのSOS
「うちの経営会議、いつも同じことの堂々巡りで全然前に進まないんだよね」
コンサルティングでお付き合いしている、ある社長から、最初にご相談いただいた時の言葉です。
多くの企業経営者が頭を悩ませる「経営会議の空回り」状態。
具体的には、こんな課題を抱えていらっしゃいました。
- 各統括部門の責任者は、自部門の利益と意見ばかりを主張する
- 他部門の問題には無関心、あるいは関わろうとしない
- 本来の経営課題の議論ではなく、各部門の問題解決を相談する場になっている
まさに「経営会議あるある」ですよね。
社長は「経営課題を討議する場にしたい」「自分たちの勢力争いではなく、会社全体の価値創造の検討をしたい」という強い思いを抱いていました。
「聞く」ことから始まる。社長の「膝を打つ」アプローチ
最初に行ったのは、私が「こうあるべきだ」という答えを提示することではなく、徹底的に詳細まで「聞く」ことから始めました。
- 「社長がお考えになる、今の経営会議はどういう状態ですか?」
- 「どうなったら理想的だとお考えですか?」
そして、その現状と理想のギャップを埋めるために、社長自身が「何をやめ、何をすればいい」と考えているかを尋ねました。
さらに、「今、そのように残念な状態になっているのは、何が理由だと思われますか?」と問いかけました。
すると、社長はご自身の言葉で、会議の現状や問題点を語り始め、やがて「たしかに、財務の話をしても営業の人間は関心ないしな」「そもそも、各部門の問題について自分が質問しているから、こういう場になってるのか…」と、自ら問題の本質に気づき、「膝を打つ」瞬間がありました。
さらに、「現場をまとめる際には共通言語を用いるのが効果的と言いますが、経営チームをまとめる場合の共通言語は何が良いとお考えですか?」と問いました。
「それはMVVしかないよね」の即答に、「では、MVV起点で経営会議を運営すると、今の会議にどんな変化がおこりそうですか?」と問いかけると、社長はとても強く頷いてくださいました。
その結果、社長の経営会議は「正常化」し、各責任者の意識は「自分たちの勢力争い」から「価値創造」へと大きくシフトしました。
経営会議が空回りすることはなくなり、真に経営課題を討議し、会社全体の方向性を決める重要な場として機能し始めたのです。
後から知った、社長が最初に出会った「正論」との違い
その後、経営会議が機能し始めてしばらく経った頃、社長から驚くべき事実を伺いました。
実は、私に相談する前に、別のコンサルタントにも相談していた、というのです。
そのコンサルタントからの提案は、ロジックとしては非常に正しいものでした。
例えば、会議を機能させるための共通言語の導入や、MVVを共通言語とすることの重要性、さらには経営会議と問題解決会議の切り分けといった、非常に理にかなった内容だったそうです。
というか、社長が自分で考えついて膝を打ったことと、手段はほぼ同じかもしれません。
しかし、社長はこう仰いました。
「言っていることは全部正しいんだけど、なんか違うんだよな、と感じて。だから尾藤さんに相談し直したんだよ。」
その「違う」と感じたのは、提案された解決策そのものというより、社長自身に対するアプローチの仕方だったようです。
コンサルタントの方が「正論」を伝えることに終始し、社長自身が「腑に落ちる」プロセスがなかったからかもしれません。
「正しい」だけでは不十分。価値創造へと繋がる本質的な関わり方
コンサルタントからのアドバイスや指導の受け止め方は、まさに人それぞれ、「好み」があるものです。
「上からの物言いだから嫌だ」と感じる方もいれば、逆に「ハッキリ指摘・指導してほしい」と望む方も多くいらっしゃいます。
私ももちろん、もちろんアドバイスや提案を行うし、「それは絶対に間違っている。危険なやり方。」と思う時には強く言う場合もあります。
しかし、私が目指すのは、クライアントが納得感を持って行動に移してもらえるためのアプローチ。
そのためには、正論を述べるのではなく、その考えを最大限に引き出し、自ら答えを見つけ、膝を打つ瞬間を創ることも必要と考えます。
相手が経営者であれ、管理職であれ、新入社員であれ、そのアプローチのやり方に違いはありません。
そのためには、
- 徹底した傾聴と質問で、クライアントの現状と理想を言語化し、ギャップを認識してもらう
- 自己認識と気づきを促す質問で、問題の根本原因を内発的に理解してもらう
- 共に解決策を探し、伴走する姿勢で、自走力を育む
これらが不可欠だと考えています。
課題を抱える経営者の皆様、もし「正論はわかるけど、なかなか状況が変わらない」と感じていらっしゃるなら、それは「やり方」以前の、不十分な納得・腹落ちがもたらすコトに原因があるかもしれません。
もし今、組織の課題に直面し、真に成果につながるアプローチをお探しでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの「膝を打つ」瞬間に立ち会えることを心から楽しみにしています。
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