マネジメント・リーダーシップ組織開発

部下の行動変容を促す「問い」は存在しない。管理職が本当にすべきこと

「メンバーの行動変容を促す『問い』は何でしょうか?」
「メンバーのモチベーションを上げる『言葉』を教えてください」

部下育成やチーム力向上に取り組む経営者・管理職の方から、しばしばいただく質問です。
ビジネスのスピードがますます速くなり、成果が求められる中、いますぐ使える魔法を探したくなるお気持ちは痛いほどよくわかります

しかし、結論から言うと、「ない!」です。

たった一つの問いで行動変容が生まれることは、極々稀にしか起こり得ません。
人が行動を変えようと思うのは、「変えた方がいい」「変えなきゃ」「よし変えよう」と自ら感じる時、つまり、内発的動機が生まれた時です。
他人から「変えろ」と言われて変えるのは、無理やり変えさせられただけで、行動変容とは言い難いです。
もちろん、強制であってもそれが定着し、自然と行われるようになれば話は別ですが、それも極レアケースです。

では、「変えた方がいい」「変えなきゃ」と思うのはどういう時か。
それは、そうしたほうが「自分にとって都合が良い」と感じた時です。
そのためには、自分の課題や目指すゴールをはっきりと自覚できていなければなりません。
それら課題やゴールと、未行動の選択肢を照らし合わせ、自分にとってメリットがあると思った時、「やった方がいい」と思うのです。

テレアポが苦手な社員さんが、自分の課題を「テレアポが苦手」と漠然と捉えるのではなく、「迷惑そうに対応された時の一声が出てこない」と具体的な課題を自己認識していれば、その対応策が「ほしい!」と思います。
そして、その課題を解決できる選択肢が目の前にあったなら、「試してみよう」「今とは違うやり方をやった方がいい」と思うのは自然な流れです。

では、「モチベーションを上げる『言葉』」についてはどうでしょうか。

そもそも、モチベーションがどんな時に上がるのかは、千差万別です。
承認された時に上がる人がいれば、人との関わりにおいて自己肯定感を持てた時に上がる人もいます。
つまり、「『言葉』で相手のモチベーションを上げよう」という発想が間違いなのであり、相手のモチベーションアップの特徴(傾向)を理解した上で、「アップのお手伝いをするための効果的な『関わり』は何か」を考えることが必要です。

承認された時にモチベーションが上がる人であっても、何でもOKというわけではありません。
結果承認に響く人もいれば、態度やあり方などの存在承認に響く人もいます。
響く言葉は人によって異なります。

人との関わりにおいて自己肯定感を自ら持てた時に上がる人には、「関わり」において、その人の力を発揮できる、価値提供できる場を用意してあげることなどが必要になってきます。

相手をよく知り、「言葉」ではなく、「何」という観点で考えれば、モチベーション向上のために、どのようなサポートが適切か、自ずと見えてきます。

メンバーの行動変容やモチベーション向上は、管理職や経営層であれば、誰しもが望むところです。
しかし、そのためのたった一つ効果的な「問い」や「言葉」は存在しません。
そうではなく、「相手をよく知り、どんな関りをすることで、良い影響を与えることができるのか」を考え、行動することが大切です。

これは「個」を深く理解し、その成長を促すリーダーシップの本質であり、チーム力強化の第一歩です。

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