マネジメント・リーダーシップ

見えないマネジメントコスト~たった一言がないばかりに生まれる「信頼の負債」

先日、友人が「聴いて!」と私に訴えてきました。

友人:「お客様から提案依頼があって、すぐに送ったんだけど、その後、全く反応がないんだよね・・・」
私 :「きっと、忙しいんじゃないかなぁ」
友人:「時期的にそうなんだと思う。でも、『受け取った』の一言くらい、あってもいいよね。」
私 :「そうだね。社内で、おんなじことが起きてないといいね。部下の方達、それだとやる気なくしちゃうものね。」

管理職の方であれば、心当たりがある方もいらっしゃるかもしれません。

部下から相談を受けた。
提案書をもらった。
レビュー依頼があった。

忘れているわけではない。
頭の中にはちゃんとある。

でも、上位職としての責任と仕事の重さ。
今の自分にとって、優先度が高いのは、「別のコト」。

しかし、残念ながら、その頭の中を相手が見ることはできません。

上司から反応がない。
「無視されている」
「自分のことは後回しだ」
「期待されていないんだ」
「他人に報連相求めるなら、自分もやってよ」

すると、部下の心の中で、「不安」「とまどい」「失望」「怒り」が芽生え始めます。

多くの場合それらは誤解です。
上司に悪意はありません。

しかし、人は情報がないと、自分なりのストーリーで空白を埋めようとします。
そして、そのストーリーは往々にしてネガティブです。

こうした状態を、私は「見えないマネジメントコスト」と呼んでいます。
上司は何も失っていないように見えて、実は、部下との信頼残高を少しずつ取り崩している状態です。

管理職が支払うコストは、叱責やパワハラのような、目に見えやすい問題だけではありません。
むしろ、
「反応がない」
「情報共有がない」
「フィードバックがない」
など、日常の小さなコミュニケーション不足の方が、静かに組織を蝕んでいきます。

その結果、
「相談が減る」
「本音を話してもらえない」
「主体性が失われる」
「エンゲージメントが下がる」
といった部下の変化を、管理職自らが気づかないうちに生み出してしまいます。

減ってしまった信頼残高を回復させるには、これまで以上の時間と労力が必要です。
たった一言がないばかりに、上司は日々、マネジメントにおける負債を生み出している。
そう思ったなら、「今、その瞬間」、たった一言を伝えるという選択を選ぶべきだと私は考えます。

「ありがとう。3日ほど時間くれるかな。」
「今、立て込んでるんだ。いつまでに返事すれば良い?」

お客様相手なら普通に行っている相手への「思いやり」。
これがあるだけで、部下の信頼残高を減らすことは防げ、見えないマネジメントコストという負債を背負うことはなくなるのです。

かくいう私も、仕事でもプライベートでも、様々な場面で「今、物理的・精神的にマックス!」となることはあります。
そんな時、返信や連絡を後回しにしたくなる誘惑が襲ってきます
だからこそ、
メールであれば、「受け取りました。〇〇日までに、改めてご連絡いたします。」
チャットなどのコミュニケーションツールであれば、ひとまずはスタンプなどのリアクションマークを押し、「見た」ということを相手に伝える。
自分が大変な時こそ、「相手を思いやる心」を忘れない人でありたい、と自分に言い聞かせています。

どんな状況にあっても、相手への配慮を失わない。

それが信頼を育むリーダーシップの第一歩なのだと思います。

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