マネジメント・リーダーシップ

1on1に費やす時間は、コストか、それとも投資か

「1on1した方がいいのはわかっているけど、忙しくて時間が取れない。」
「営業(業務)活動優先なので、どうしても後回しになってしまう。」

これらは、管理職の方からしばしば上がってくるリアルなお声です。
そんな時、私はいつも、こう問いかけます。

「1on1の『目的』は何ですか?」

・部下育成のため
・業務進捗確認
・部下の困りごと解消
・キャリア支援

もちろん、これらは間違いではありません。
しかし、最も重要だと思うのは、「いざ」という時に、部下が自ら口を開いてくれる関係性維持のため。
そしてもう一つ、部下が安心して挑戦し、成長できる環境を整えることです。

部下が、
・本当に悩んでいる時
・とんでもないミスをしてしまった時
・コンプライアンス上の葛藤を抱えている時
・上司やチームに対して違和感や不満を持った時

部下にいつ訪れるともわからない「課題」に対して、部下が「自ら口を開いてくれる」関係性は、すなわち、部下との「信頼残高」が高い状態にあると言えます。
この信頼残高を高い状態で保ち続けること。
これこそが、1on1 の本質だと私は思います。

「部下との関係性はできている」
「何でも本音で話してくれる」

そうおっしゃる方も多くいらっしゃいます。
それ自体、とても素晴らしいことです。

しかし、その『本音』は、本当に『真の本音』でしょうか。

100%そうだ!と言い切れない、1ミリでもあなたに躊躇があるのなら、部下との信頼貯金は、まだ満額ではないかもしれません。

そもそも、この信頼貯金は、日々のちょっとした出来事で増えもすれば、減りもします。
常に満額を保ち続けるのは、なかなかに難しいことだと私は考えます。
だからこそ、努力が必要。
そのための手段と、残高確認方法が定期的な1on1なのです。

部下は、
・自分への小さな不満を自ら進んで話してくれるか
・改善してほしいことを自ら率直に話してくれるか
・評価に影響しそうな失敗や選択を自ら話してくれるか
・あなたと異なる意見を常に提言してくれるか

これらは、決して簡単なことではありません。
なぜなら、部下にとって上司は評価者だからです。
評価者に対して本音を包み隠さず話すというのは、想像以上に勇気が必要なことです。

だからこそ、そうした話を部下から自発的にしてもらえるのであれば、それは信頼貯金がかなり積み上がっている証拠だと思います。

1on1で本音を話してもらえないことをストレスに、続けることを止めてしまう管理職の方もいらっしゃいます。
一方、続けることで、「部下の100%本音を聴くことができるようになった!」と信頼残高の増加を確かに感じることができている方もいらっしゃいます。

定期的に行う1on1の30分~60分を、「コスト」と見るか。
それとも、
信頼貯金を積み立てるための「投資」と捉えるのか。

信頼残高がしっかりとあるからこそ、部下育成のためのフィードバックやアドバイス、キャリア支援にも耳を傾けてもらうことができます。
また、信頼残高があることで、小さな違和感や問題の芽に早い段階で気づき、対応することも可能になります。
さらに、高い信頼残高は、部下のチャレンジや新しいアイデアなどの創発を大きく後押しします。

1on1は、「いざ」という時に、部下が「何の迷いや躊躇もなく、ありのままの事実と本音を素直に話してくれる関係」を作るための時間です。
また、部下が「安心して」成長できる環境の土壌を整えるための時間とも言えます。

信頼貯金が満額でなければ、1on1は続けるべきだし、今、満額であったとしても、日々の増減に対応するために、やめてはいけないと思っています。

1on1に費やす時間は、コストではなく、部下との信頼関係という資産を育てるための投資です。
その投資こそが、部下とチームの成長を後押しし、「いざ」という時に組織を支える大きな力になるのです。

あなたのチームの「信頼貯金」は、今、どれくらいあるでしょうか。

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